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ウインタータイヤだけじゃない高性能タイヤ:阿部商会「ノキアンタイヤ」【東京オートサロン】

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ウインタータイヤだけじゃない高性能タイヤ:阿部商会「ノキアンタイヤ」【東京オートサロン】

「ウインタータイヤの生みの親」と呼ばれるタイヤメーカー ノキアンからタイヤを輸入・販売している阿部商会。北欧フィンランド生まれなだけあって冬場の雪道にはめっぽう強いノキアンだが、東京オートサロンではサマータイヤが展示されていた。日本でもウインタータイヤで名が知られているノキアンのサマータイヤとはどのようなものなのだろうか。阿部商会 大阪営業所所属の山口 将太氏に話を聞いた。

[西ホール2]
TEXT&PHOTO 久保田幹也

徹底した安全性はサマータイヤでも変わらず

ノキアンタイヤから正規代理店としてタイヤを輸入・販売し始めたのが5〜6年前。当時からウインタータイヤで世界的に高い評価を得ていたが、取扱いを始めた当初はウインタータイヤしかなかったという。海外メーカーでは認証ウインタータイヤとして認められ、知名度も向上しているが、ことサマータイヤについてはそれほど知名度は高くない。ノキアン=冬に強いという構図は、世界的にも変わらないようだ。

その中にあって、「ノキアン本社に打診してサマータイヤを持ってきた」と語る山口氏。実際、ウインタータイヤを愛用しているお客様から「サマータイヤはないの?」という問い合わせもあったらしい。日本市場でも取り扱いたいという阿部商会の思いもあり、今回の東京オートサロンで展示した形だ。

はっきりとわかるほど深いタイヤ溝。国産のタイヤと比較してもその深さは歴然である。
はっきりとわかるほど深いタイヤ溝。国産のタイヤと比較してもその深さは歴然である。

編集部が実際に紹介してもらったのは「HAKKA GREEN 3」と呼ばれるタイヤ。コンパクトカーやミニバンに使用するサマータイヤで、いわゆる低燃費タイヤのひとつだ。外見からわかるほど溝が深いのが特徴で、ウェットな道路状況に強さを発揮する。

また、貼付されている「EUタイヤラベル」を見ると、速度基準が高めに設定されている。言い換えれば剛性が高く、ちょっとやそっとのことでは劣化が進まないのが特徴だ。ドイツのアウトバーンを基準にしている時点で頑丈な作りをしていることはわかるが、反面そこまで分厚い印象はない。

デモカーを見ても、トレッド面の広さの割には窮屈そうな印象は受けない。
デモカーを見ても、トレッド面の広さの割には窮屈そうな印象は受けない。

トレッド面が広いのも特徴であろう。パッと見て「幅が広い」という印象を受けるのも、ノキアンのタイヤの特徴といえるだろう。徹底した安全性と性能の高さは、サマータイヤでも変わらないのは、注目すべきポイントの一つといえるだろう。

本国がSDGsに力を入れているからこそできる環境への配慮

もうひとつ大きな特徴が、環境への配慮の高さだ。ノキアンの本社は北欧フィンランド。昨今、世界中で叫ばれている環境問題への取り組みも、ノキアンタイヤは積極的に取り組んでいる。

たとえば、タイヤ生産時に発生する二酸化炭素を44%削減することに成功したり、工場や物流センターにソーラーパネルを設置したりと、あらゆる方面で環境問題を意識。そのおかげか、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックスワールドから、世界10位以内のサステナブルな企業に選定されている。

タイヤ生産に置けるサステナブル目標はまだ達成していないが、達成できる未来はそう遠くない可能性が高い。
タイヤ生産に置けるサステナブル目標はまだ達成していないが、達成できる未来はそう遠くない可能性が高い。

また。タイヤの生産そのものについても積極的にサステナビリティを追及。2022年に発表したコンセプトタイヤ「Green Step」は、材料の93%を再生可能資源もしくはリサイクル素材で賄うことに成功。2030年までには全タイヤ生産で使用する材料のうち、50%を再生可能資源もしくはリサイクル素材にするとも掲げている。

「タイヤそのものがSDGsのそれに適合しているわけではないが、細かく設定されたサステナブルに関する項目を暮らしているので総合的な環境配慮ができている」と山口氏は語る。「タイヤは性能とサステナブルで選ぶ時代」がもうすぐやってくるのかもしれない。

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