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ロータリーエンジンの復活:e-SKYACTIV R-EV|Generator-EVという選択肢

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ロータリーエンジンの復活:e-SKYACTIV R-EV|Generator-EVという選択肢

コンパクトで高性能というイメージが強かったロータリーエンジンを、発電専用に使う。マツダはEVとシリーズハイブリッドの強みを融合し、EVとしての使い方を拡張した今までにない新しい電動車として、e-SKYACTIV R-EVを定義付ける。

TEXT:MFi PHOTO&FIGURE:Mazda/MFi

e-SKYACTIV R-EVのパワートレーン|PHEV専用のプラットフォームではなく、BEVのMX-30と同じ車体フレームに搭載できるように設計することは車両価格を抑えるために必要だった。狙いの出力として125kWの駆動用モーターをこの条件で成立させるためには、エンジン全長の影響で4気筒はおろか3気筒でも不可能。そこで1ローターの薄型ロータリーエンジン搭載が決まった。同じシリーズ式ハイブリッドである日産e-POWERのパワートレーンは3気筒エンジンを搭載するため、モーター/ジェネレーターを前後配置して成立させている。

マツダがe-SKYACTIV R-EVの価値として示したのは、ロータリーエンジンのコンパクトさを活かし、エンジン、発電機、高出力モーターをBEVモデルと同じ車体フレームに搭載可能とすることだった。そして以下の3点のメリットを顧客に提供することを狙っている。まず1つめは、普段はBEVとして使えて、ロータリーエンジンの発電で長距離移動も可能であること。2つめはモーター駆動による純粋で心地の良いドライビング体験。最後に多彩なライフスタイルをサポートする充電・給電性能となっている。

ロータリーエンジンのコンパクトな電動駆動ユニットは、まず小型化への挑戦が必要だった。エンジンと同軸上にモーター、ジェネレーター、そして減速機も配置することで電動駆動ユニットを統合化・一体化することが可能となる。これは小型化にあたってとても大きなメリットを生み出す。エンジン自体の設計、生産の工夫も行われているが、それ以外の部分でもパワートレーン小型化への努力は多岐にわたっている。

モーターとジェネレーターは油冷だが、潤滑構造を徹底的に見直した。CAEと可視化の両面で狭いスペースでの均質なオイル流れを追求し、こちらのパートでも薄型化を追求した。インバーターやコンバーター、ジャンクションボックスなどは水冷シール部のボルトを廃止し小型化を推進。さらにアルミ接合技術にはFSW(摩擦撹拌接合)を採用し、ここでもサイズを抑えている。

駆動はすべてモーター|エンジンは発電に徹しタイヤを駆動することはない。ホンダe:HEVや三菱アウトランダーPHEVはエンジンと駆動軸を直結するクラッチ機構を持ち、効率の良い領域ではエンジンで走行するが、R-EVは日産e-POWERと同様に純粋なシリーズ式となる。
著者
Motor Fan illustrated

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