NVIDIAの最新GPU「NVIDIA DGX H100」はモビリティ業界発展の起爆剤となるか?|NEXTYとGDEPがGPU Advanced Test drive(GAT)の提供を発表
2024年4月1日より、NVIDIAの最新GPU(NVIDIA DGX H100およびNVIDIA AI Enterpriseソフトウェアプラットフォームで構成されたGPUアクセラレーテッドシステム)を使用しPoC(新サービスの概念検証や、試作開発に入る前段階の検証プロセス)のトライアル環境の提供が開始される。
TEXT:石原健児
NVIDIA社の最新GPUを用いたPoE環境を提供
株式会社ネクスティエレクトロニクス(本社:東京都港区、代表取締役社長:柿原安博)と、株式会社ジーデップ・アドバンス(本社:東京都港区、代表取締役社長:飯野匡道)は、2024年4月1日より、「GPU Advanced Test drive(GAT)」の提供を開始する。GATはモビリティ業界向けに特化したサービスで、NVIDIAの最新GPU(NVIDIA DGX H100およびNVIDIA AI Enterpriseソフトウェアプラットフォームで構成されたGPUアクセラレーテッドシステム)を使用しPoC(新サービスの概念検証や、試作開発に入る前段階の検証プロセス)のトライアル環境を提供するものだ。モビリティ関連企業各社に、開発目的に合わせたGPU環境を試してもらい、本格的なGPU環境導入の後押しをする狙いがある。
国内SDV開発の加速を狙う
2月26日に開かれた報道機関向け発表会では、ネクスティエレクトロニクスから柿原氏、ジーデップ・アドバンスからは飯野氏が登壇した。発表会の冒頭、柿原氏はモビリティ業界を取り巻く現状について語った。「今後、車は自動運転など新たな価値がソフトウェアで追加されていきます。スペックやデザインなどのハードウェアが重視されていたこれまで比べ、車の価値の概念が変わります。」これはソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)という新しい概念。外見は変わらなくとも、ソフトウェアにより機能が追加される、スマートフォンのようなプロダクトだ。SDV開発に寄与するのがAI技術、そして中心となるのがGPU環境だ。GATで企業は開発目的に合わせた環境を、安全・手軽に利用できる。NVIDIA社最新のGPUを試すことができるのだ。サーバーはクラウド(仮想環境)ではなく、物理的なサーバーを占有できるのも安心材料だ。
3年で100億円の設備投資が目標
2023年、世界全体のGPU市場規模はおよそ380億ドル。NVIDIAのシェアは9割にのぼる。両社はGATの提供を通じて、国内モビリティ企業のSDV開発・AI開発促進、ひいては国際競争力の向上をめざしている。生産現場のライン設計やデザイン、AI技術や自動運転技術の開発など新サービス「GAT」の活用範囲は広い。両社はトライアル後の各企業のCPU導入について、3年後に総額100億円の数字を目標としている。
4月から開始するGATサービスは、6か月までのトライアル使用が可能。利用開始から1週間は、無料で利用できる。その後の利用料も実費程度に抑えている。海外で同レベルのPoCトライアルサービスを利用する場合と比べ、半額程度での提供をめざしている。ネクスティエレクトロニクスとジーデップ・アドバンスの連携はおよそ10年にも及ぶ。両社の取り組みにより、国内のモビリティ業界でGPUの活用が活性化し、NVIDIAの技術が多くの車両に搭載されていくことだろう。