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自動運転における"魔の10秒"。システム破綻から受け渡しまでのリスクについて、電動モビリティ専門職大学の古川 修教授に訊く【AD/ADASの現状をおさらいする Vol. 3】

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自動運転の研究開発に長年携わってきた方々の多くは「やればやるほどむつかしい」と言う。レベル3について古川教授は「システム破綻したらドライバーに操作を渡すが、ここに10秒かかる」と語る。いまだ社会実装にはほど遠い状態の自動運転は、本当に大丈夫なのか……。

TEXT&PHOTO:牧野茂雄(Shigeo MAKINO) FIGURE:HONDA

電動モビリティシステム専門職大学。世界中探しても初めての大学だろう。設立のいきさつを調べると、当初は山形大学工学部の電池研究所建設計画に呼応して山形県西置賜郡飯豊町が誘致したが、その計画がなくなり、文部科学省の専門職大学制度に申請し、昨年8月に認可が下りた。

開校はことし4月である。教授陣には元ホンダの古川氏をはじめ、三菱自動車でトルクベクタリングAWDを開発した澤瀬薫氏などエキスパートが顔をそろえる。学長は元慶応大学教授で電動車を多く手掛けた清水 浩博士である。同学のオープンキャンパスデーに山形まで出向き古川教授に自動運転の話を伺った。

予防安全へのAI活用|現在ホンダが進めている安全性研究開発の例。車載カメラを使えば自車周囲にいる歩行者・自転車を認識できる。その中から「ぶつかりそうな対象」を予測しドライバーに警報を出すシステムだ。実際に筆者は歩行者役をやってみたが、車道に出ずに寸前でUターンしようと思っていた挙動をAIに見破られた。「動き」のデータを蓄積した成果だろう。
著者
牧野 茂雄
テクニカルライター

1958年東京生まれ。新聞記者、雑誌編集長を経てフリーに。技術解説から企業経営、行政まで幅広く自動車産業界を取材してきた。中国やシンガポールなどの海外媒体にも寄稿。オーディオ誌「ステレオ時代」主筆としてオーディオ・音楽関係の執筆にも携わる。

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