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カリフォルニアZEV規制はEV普及にどのような影響を与えたか

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カリフォルニアZEV規制はEV普及にどのような影響を与えたか

アメリカのカリフォルニア州では、2035年までにすべての新車をZEVにするという目標を掲げている。同州では2012年に目標として掲げられた「2025年までにZEVの台数を150万台にする」という指標を2023年時点ですでに達成しており、新車販売の一定比率をZEVで占める「ZEV規制」が進んでいる地域と考えられるだろう。

インフラ整備も積極的に行われ、住民の多くがEVの所有に積極的なカリフォルニアという地域はEVの普及に向けてどのように向き合ってきたのだろうか。

ILLUSTRATION:Shutterstock

ZEV規制とは何か

ZEV規制とは、大気汚染対策として米国カリフォルニア州が1990年に導入した制度。カリフォルニアでは自動車の利用率が高く、地形的な特徴も相まって大気汚染が深刻だったことも、この制度の登場の背景として挙げられる。

また、カリフォルニア州は2035年までに州内のガソリン車やHVなどの新車販売を全面禁止する規制案を決定したこともあり、ZEV施策を積極的に推進している地域として注目されている。

米国カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)は、ZEVの販売に関するデータを四半期ごとに更新しているが、当データによると、2023年第2四半期(4~6月)の州内乗用車販売台数に占めるZEVの割合は25.4%に上った。当年上半期全体では24.3%、ZEV販売台数が22万3,298台だった。

当期までの州内のZEV累計販売台数は、162万3,211台に及んでいる。メーカー及びモデル別の内訳としては、テスラ「モデルY」の7万4,488台が最も多い結果となった。次いでテスラ「モデル3」の4万1,430台、ジープ「ラングラー」7,341台、ゼネラルモーターズ「シボレー・ボルトEUV」の7,082台、フォルクスワーゲン「ID.4」の5,902台、フォード「マスタング・マッハE」の5,071台、テスラ「モデルX」の4,899台、BMW「i4」の4,598台、メルセデス・ベンツ「EQS」の4,375台、GM「シボレー・ボルトEV」の4,210台と続く。今回のデータではテスラのモデルが上位を占めており、他のメーカーに大きな差をつけていた。

カリフォルニア州は2023年4月、州知事室が州内のZEV販売台数が150万台を突破したことを発表した。この発表は、ジェリー・ブラウン知事(当時)が2012年に設定した「2025年までに150万台のZEVを販売」という目標を、2年以上早く達成したことを意味している。

さらにアメリカエネルギー省のデータによると、2022年の全米のZEV登録台数は約974万6,500台で、そのうちカリフォルニア州が36.9%を占めており、カリフォルニア州がクリーンな自動車の普及において他州に先行していることが見て取れる。

加速するインフラ設備の拡張と、EVの所有に前向きな風土も後押しか

同州はインフラ整備にも力を入れている。

カリフォルニアエネルギー委員会(CEC)による2023年9月のデータによると、カリフォルニア州内のZEV充電設備数は合計93,855台に達している。これには公共充電設備41,384台と共有されている私有充電設備52,471台が含まれており、レベル2の充電設備が83,597台、DC急速充電設備が10,258台だ。

郡別ではロサンゼルス郡が2万9,280台、サンタクララ郡が1万8,116台、サンディエゴ郡が8,077台となっており、これらの群が設備数を牽引する形だ。さらに州内では商業施設やアパート、ホテルの駐車場などにも複数の充電設備が設置されている。

また、カリフォルニア公共政策研究所(PPIC)が2023年6月に、気候変動や環境政策に関してのアンケート調査を実施。州全域で既にEVを1台所有している住民は8%程度だったが、サンフランシスコ・ベイエリアでは、住民の10%が既にEVを保有しており、55%が購入を検討していると回答したようだ。

これは、この地域に限って住民の3分の2がZEVの所有に前向きであることを意味している。

ZEV数値目標の設定

ZEVを推進するカリフォルニア州の州政府による目標設定を振り返ってみよう。遡ること2012年、当時のブラウン知事が累積販売台数に目標を設定したことは前述した通りだ。

その後2020年9月には、ギャビン・ニューサム知事が知事令を発表。「ガソリン車の州内新車販売を2035年までに禁止する」「乗用車、小型トラックを含む州内で販売する全ての新車を、同年までにZEVにすることを義務付ける」とした。加えて、カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)が2022年8月、新規則を承認したことは記憶に新しい。この規則では州内で販売する全ての新車を2035年までに全てZEVにするところに置かれ、「Advanced Clean Cars II Rule」と命名された。その結果、新車販売に占めるZEVの割合は、2026年式モデルで35%、2030年式では68%と、段階的に引き上げられることに。

充電設備の整備についても同様だろう。やはり、ブラウン知事が2018年1月に公布した知事令が起点となっている。余談だが、当該知事令では2025年までに25万基の充電設備を設置するという目標などが盛り込まれていた。

発展を支える充実したEV支援策の功

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