EV転換期、部品メーカーの競争と再編の行方
EVシフトが加速し、ガソリン車とは構成する部品が大きく変わる中において、自動車部品メーカーでは構造転換が進んでいる。
デンソーは電動化関連の30年度売上高を22年度比で約2,8倍となる1,7兆円まで引き上げる目標を設定。需要が急増する半導体事業には30年までに実に5000億円を投じ、ソフトウェア人材は22年度比で1,5倍の1,8万人に増加させるという計画を掲げている。
トヨタ系で内外装部品やエアバッグが主力の豊田合成は、23年末、同社として初めて車体の骨格部品事業に乗り出すと発表。フロントの骨格部品を鉄から樹脂に置き換えるなどして、部品点数を25点から1点に集約。関連部品メーカーとも連携し、軽量化と高剛性を両立させたモジュール部品の開発、提案を行う。
急激に動く市場に各社様々な動きが見られる。
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新たな部品の登場による業界の変化
トヨタ系部品メーカーであるアイシンは2023年9月、新たな中期経営計画を策定した。EV向けに車体成型技術「ギガキャスト」の開発に参入することを発表したことは記憶に新しい。
ギガキャストは車体部品を一体成型できる技術で、アルミダイカストという鋳造法で溶かしたアルミ合金を金型に流し、 圧入して成型する。アイシンはバッテリーを保護する電池骨格にギガキャストを組み合わせた統合部品を27年にも投入する予定だ。これまで数十から100以上の部品を溶接し加工していたものをギガキャストに集約できることで、工数や製造コスト、リードタイムを大幅に削減することができるとされている。テスラがすでに導入しており、トヨタ自動車など日本勢も採用を検討している。
その一方、このギガキャストが普及すれば、既存の車体部品メーカーにとっては多くの車体部品で受注が減少するだろう。車体部品メーカーはどれほどの車種にギガキャストが採用されるのか注視しておく必要がありそうだ。
ホンダ系車体部品メーカーのジーテクトはギガキャストの対抗策として、アルミなど複数の部品を組み合わせた大型車体モジュール部品の提案を模索している。