三菱ふそうトラックヨーロッパ(MFTE)のトラマガル工場が設立60周年を迎える。現在は「キャンター」と「eCanter」を生産。
三菱ふそうトラック・バス(以下、MFTBC)は、100%子会社である三菱ふそうトラックヨーロッパ(以下、MFTE)のトラマガル工場が設立60周年を迎えたことを発表した。トラマガル工場は周辺地域における最大級の雇用主であり、2023年にはおよそ11,800台のトラックを生産・販売、同工場で過去最多を記録している。
トラマガル工場の生産活動の歴史
稼働開始から60年の間に、26万台を超える車両がトラマガルで製造された。FUSOの小型トラック「キャンター」は1980年より同工場で生産されている。現在、MFTEからは欧州の32の市場に車両を出荷している。
トラマガル工場はポルトガル企業のDuarte Ferreira社と、フランスのトラックメーカーであったBerliet社の合弁企業として、1964年に設立された。設立当初は、ノックダウン生産を行っており、FUSOブランドも1980年に加わった。1980年以降、ポルトガル市場向けのFUSOの小型トラック「キャンター」、FUSOの中型トラック、三菱自動車のピックアップトラック「L 200」、バン「L 300」、SUV「パジェロ」が生産されてきた。
1990年、同工場は三菱自動車ポルトガル社に買収され、1996年には三菱自動車工業株式会社が同工場を引き継ぎ、FUSOの「キャンター」専業とすることを決定した。2004年にはダイムラー社(当時)がMFTBCの筆頭株主となったことに伴い、同工場はダイムラーグループの一員となった。
2017年に、同工場は欧州市場向けにFUSOの電気小型トラック「eCanter」の生産が開始された。現在も、「eCanter」新型モデルの生産が行われている。
サステナブルな生産活動のロールモデルとして
トラマガル工場は2022年に、工場構内の太陽光発電設備などによって、生産活動のカーボンニュートラル化を達成した。同工場は環境対策を継続的に見直すことで、二酸化炭素(CO2)の削減量が工場から排出されるCO2を上回る「クライメートポジティブ」な工場となることが目指される。
もう一つのサステナビリティへの取り組みとして、水使用量の削減にも取り組んでいる。同工場の新しい水処理設備は、生産サイクルで排出される水の60%以上を再利用できる。
MFTEは、2023年にポルトガルのトマール工科大学と、MFTEの従業員にトレーニングを提供するパートナーシップを結んでいる。この新しいトレーニングプログラムは、周辺地域の若い技術者たちに、eモビリティや生産技術の知識を磨くことによって、キャリアアップの機会を提供することを目指しており、2024年後半のプログラム開始が予定されている。