トヨタ・モビリティ基金と東京工業大学、「交通安全高度化協働研究拠点」を設置
トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation、以下「TMF」)と東京工業大学(以下、東工大)は、交通事故死傷者ゼロを目指し、クルマ・人・交通インフラの三側面(「三位一体」)における実効性ある交通安全施策の実現に向けて、「交通環境における人の行動」等に関する研究を行う「交通安全高度化協働研究拠点※1」を設置したことを発表した。
研究拠点設置の背景
TMFが事務局を務める「タテシナ会議※2」の分科会では、「交通事故死傷者ゼロの実現時期を少しでも早めること」を目標に、35の企業から約140名が参画し、政府・自治体や関係機関とも連携を図り、クルマ・人・交通インフラの三位一体での活動を推進している。一例として、企業が保有するデータ、地域住民からの情報などと事故情報を組み合わせた事故リスク予測モデルの構築や、高齢者や児童、自転車ユーザーに向けた新たな啓発や支援手法の実証が進められている。
この活動の中で、効果が高い対策の実現には、事故リスクにつながる要因を明らかにするだけでなく、さまざまな交通環境においてその要因に至る人の行動への理解と人が安全な行動をとるための効果的な働きかけが不可欠であるという課題が見えてきた。そのためには学術的な知見に加えて、単一の専門領域にとどまらない研究が必要と考え、産学連携の在り方が模索されてきた。
今後の展望
今回、TMFの交通安全の取り組みに関してアドバイザーを務める東工大工学院機械系の小竹元基教授を中心に、東工大オープンイノベーション機構の支援により、協働研究拠点設置の協定を締結し、4月4日に調印式が行われた。
今後、同拠点を、分科会と連携した、東工大およびさまざまな機関との共創の場として、交通事故死傷者ゼロの実現に向けた研究開発が進められていく予定。まずは分科会活動との相乗効果を生み出すテーマとして、ドライバーおよび交通弱者(歩行者や自転車ユーザー)それぞれを対象に、「事故に至る人の行動を測り、評価する仕組み」と「安全な行動を促す仕掛け」づくりに取り組んでいく。
「交通安全高度化協働研究拠点」の概要
名称:トヨタ・モビリティ基金 交通安全高度化 協働研究拠点
設置場所:東京都目黒区大岡山2-12-1東京工業大学大岡山キャンパス 石川台6号館
設置期間:2024年4月1日~2027年3月31日
研究題目:以下に掲げる交通事故数低減を目指した仕組みと仕掛けに資する基盤技術とその高度化に関する研究
1. ドライバーの運転行動評価に関する研究
2. 交通弱者の行動計測・行動評価に関する研究
3. 交通弱者の行動変容に関する研究
拠点長:小竹元基 (東工大 工学院機械系 教授)
副拠点長:八木健一 (TMF プログラム企画グループ プログラム・ディレクター)
※1 協働研究拠点とは:企業と東工大協働の研究企画チームを設置し、組織対組織で新しい研究テーマの企画や共同研究を行うものである。協働研究拠点の活動は東工大のオープンイノベーション機構が支援する。
※2 「タテシナ会議」:毎年、トヨタ自動車が主催する交通安全に祈りを捧げる蓼科山聖光寺夏季大祭において自動車など関係業界の役員が一堂に会すことを受け、2019年に、交通事故死傷者ゼロの実現に向けて思いを共有し、協働するための場として初開催。2023年7月の開催時には、交通安全への想いと交通事故死傷者ゼロに向けた取り組みをさらに実効性のある活動にしていくため、児童や高齢者など交通弱者への支援や自転車・二輪車が絡む事故、海外での事故などの課題に焦点を当てた5つの分科会が発足。