過去と未来を繋ぐ革新技術コンバートEVがもたらす新たなカルチャー
近年、脱炭素社会の実現に向け、世界的なEV普及の波が押し寄せている。この流れを受け、多くの自動車メーカーはガソリン車・ディーゼル車からの脱却を意識し、EV開発に注力するようになった。
そんな中、自動車史に刻まれた名車たちは、単に過去の思い出を呼び起こすだけではなく、現代の技術と融合することで新たな魅力を発揮できる可能性を秘めている。その代表例が、クラシックカーを現代の技術で蘇らせる「コンバートEV」だ。
クラシックカーの持つ独特なデザインや走行感は、現代の車では味わえない特別な魅力を持っている。しかし、環境問題という課題もあり、その存続が危ぶまれているのも事実だ。
コンバートEVは、こうしたクラシックカーを環境負荷の低いEVへと生まれ変わらせることで、その魅力を現代に引き継ぐ手段として浸透しつつある。
クラシックカーを所有するオーナーにとっては、愛車を環境性能の高いEVへとアップデートすることで、これまで以上に長く楽しむことができる。また、クラシックカーの希少性や歴史的な価値はそのままに、現代的な快適性や安全性を備えることも可能となる。
コンバートEVは環境問題への意識が高まる現代社会において、クラシックカーファンだけでなく、様々な企業からも熱い視線が注がれている。
コンバートEVは単なるエコな車というだけではなく、クラシックカーファンにとって夢のような存在と言えるだろう。それは、過去と未来を繋ぎ、自動車文化の新たな可能性を切り開く革新的な技術となるはずだ。
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迅速で顕著な加速性能を実現し、エコカー扱いでの税制面の恩恵を受けられるコンバートEV
コンバートEVは、従来のガソリン・ディーゼル車から不必要な部品を撤去し、代わりに電動モーター制御装置やバッテリー、および専用のコンポーネントを搭載することでEVに変換するものだ。
この技術は、騒音や環境への影響、部品供給の問題で維持が困難になったクラシックカーを復活させ、再利用する手段として注目を集めている。
コンバートすることで、環境への配慮だけではなく性能面などでも利点が見込まれる。例えば、10kWのモーターと640kgの車体重量を持つモデルの場合、0-100km/h加速が7.0秒と、標準的な車よりも迅速で顕著な加速性能を実現する。
そして、モーターはエンジンに比べ構造がシンプルなことが特徴だ。これにより故障などのトラブル軽減にも繋がっている。
またエンジン車では初年度登録から13年を超えると自動車税が増税され、18年を超えると更に増税率が引き上げられる。しかしEV化にすることで、増税対象から外れエコカー扱いとなるため、税制面での恩恵が受けられるわけだ。