旭化成、リチウムイオン電池(LIB)用湿式セパレータ「ハイポア」について、カナダにおける製膜・塗工一貫工場建設を決定。
旭化成は、リチウムイオン電池(LIB)用湿式セパレータ※1「ハイポア」について、カナダ・オンタリオ州における製膜・塗工一貫工場建設を決定した。当該工場に関しては、Hondaと基本合意書を締結し、出資に関する検討が進められている。
旭化成の事業について
旭化成は『中期経営計画2024 ~Be a Trailblazer~ 』において、蓄エネルギー関連事業を「グループの次の成長を牽引する10のGrowth Gears(“GG10”)」の1つとして位置付けている。その中核事業である「ハイポア」は、40年を超える事業の歴史を土台に技術革新をリードし、民生用途から車載用途に販売を拡大してきた。 今般、米国インフレ抑制法等による北米における電動車向けセパレータ需要の増加及びLIBサプライチェーンの現地化に対応すべく、今般新たにカナダ・オンタリオ州に製造拠点を新設することを決定した。
Hondaとの基本合意について
旭化成とHondaは、中長期的な成長が見込まれる北米の電動車市場向けに、高性能なバッテリーを安定的に供給するサプライチェーンの確立が重要との共通認識に基づき、今回の基本合意に至った。Hondaやその他の自動車メーカーの北米市場向け電動車に搭載されるバッテリーに向けて、「ハイポア」を製造する合弁会社設立の検討が推進される。
日本政策投資銀行からの資金提供について
北米での「ハイポア」製造拠点の建設にあたり、LIBセパレータ事業における競争力およびLIB部材の供給力の強化に資するプロジェクトとして、旭化成バッテリーセパレータはDBJに対し優先株を発行し280億円の資金提供を受けることが決定された。
補助金等について
本件投資に関しては、2023年9月にカナダ連邦政府と日本政府との間で締結された蓄電池サプライチェーンに関する協力覚書による支援を受けるほか、カナダ連邦政府、オンタリオ州政府から補助金・税恩典等を受領し、投資負担を軽減しつつ、市場拡大に応える十分な生産規模が追求される。
※1 LIBの正極・負極間に位置する多孔質膜で、正極・負極間でリチウムイオンを透過させる機能を有するとともに、正極と負極の接触を遮断し、ショートを防止する部材