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旭化成エレクトロニクスとSAL、eFuseの技術検証に成功。車載充電器などの安全性向上に寄与

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旭化成エレクトロニクスとSAL、eFuseの技術検証に成功。車載充電器などの安全性向上に寄与

旭化成エレクトロニクスとSilicon Austria Labs(SAL)は5月29日、炭化ケイ素(SiC)を用いたパワーデバイスを利用した高電圧アプリケーションにおける電子ヒューズ(eFuse)技術の共同技術検証に成功したと発表した。

SALは、欧州のエレクトロニクスおよびソフトウェアベースのシステムの研究機関。オーストリアにある拠点では、マイクロシステム、センサーシステム、パワーエレクトロニクス、インテリジェントワイヤレスシステム、組み込みシステムの分野における主要技術の研究を行っている。

電気自動車をはじめとした高電圧アプリケーションでは、高効率化を進めるため、これまでのシリコン(Si)材料のものから、SiCや窒化ガリウム(GaN)といった次世代の半導体材料を用いたパワーデバイスへの切り替えが進んでいる。これらの次世代パワーデバイスを使用するシステムでは、過電流が発生したときにデバイスを保護し、コストのかかるメンテナンスを回避するため、これまでよりも高速にシステムをシャットダウンさせる必要がある。これまで過電流対策として使用されてきた機械式ヒューズよりも、高速応答性で優位なeFuseが求められており、旭化成エレクトロニクスとSALは共同で技術検証を行っていた。同検証により、自動車に搭載されるシステムの安全性向上と、生産コスト削減の可能性を示した。

旭化成エレクトロニクスが2024年2月に発表したコアレス電流センサー「CZ39シリーズ」は応答時間が100nsと非常に短く、また高精度であることが特長。同製品を今回開発したeFuseに用いることで、過電流を即座に検出しシステムの高速なシャットダウンを実現した。

このeFuseソリューションは、自動車に搭載される充電器(On Board Charger:OBC)などSiCやGaNベースのパワーデバイスを搭載した次世代の高電圧EVシステムで求められる過電流および短絡保護機能を提供する。eFuseを電流センシングにも活用することで、システムに流れる電流も効率的に調整することができるため、システム全体の部品点数を削減できる。

SALパワーエレクトロニクス部門チームリーダーのThomas Langbauer氏は「旭化成エレクトロニクス社の最新の電流検出技術を活用することで、eFuseの応答時間を短縮し、また、SiCやGaN材料を用いた次世代パワーデバイスの保護性能を向上させることが可能となった」とコメントしており、旭化成エレクトロニクスは6月にドイツで開催されるエレクトロニクス製品の見本市「PCIM Europe 2024」で、SALとの共同研究の成果について詳細を発表するとしている。

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