NTN、「低フリクションハブベアリング」シリーズを拡充。従来品比で最大約64%の低フリクション化、約0.75%の電費改善を実現

開発の背景

NTNはタイヤの回転を支えるハブベアリングとして、寿命や強度などの基本性能を満たした上で回転フリクション(摩擦)を低減する「低フリクションハブベアリング」を2009年に開発した。以来、インナーシールへのラビリンス構造(すきま)の設置によるシールリップ部の削減や、各種グリースの低粘度化などの改良により低フリクション化を追求し、「低フリクションハブベアリング」シリーズとしてグローバルに提供している。本シリーズはその低フリクション性能が高く評価され、数多くの車種に採用されたことにより自動車の省燃費・電費化に貢献している。

一方、脱炭素化社会の実現に向けて、EVの開発・普及が加速する中で、航続距離の延長を目的にあらゆる面で省電費化が進められており、ハブベアリングにもさらなる低フリクション化が求められている。こうしたニーズに対応するため、NTNは2023年に従来のシリーズ商品にさらなる改良を加えた「低フリクションハブベアリングIV」を、そして今回、新商品として「低フリクションハブベアリングV」が新たに開発された。

「低フリクションハブベアリングIV」について

アウターシールおよびインナーシールに新開発の低トルクシール塗布グリースを適用。グリースの基油が低粘度化されたほか、基油を半固体状に保持する増ちょう剤を微細化することで、基油の保持力を下げずに増ちょう剤量を削減することに成功し、グリースのさらなる低粘度化が実現された。これらの改良により、シール回転時のグリースによる抵抗を抑え、走行時における回転フリクションを低減している。

「低フリクションハブベアリングV」について

「低フリクションハブベアリングIV」の軸受内部に、新開発の低トルクグリースを適用。本グリースは、基油の低粘度化と増ちょう剤の微細化によるグリースの低粘度化を図る一方で、軸受回転時にボールによって掻き取られたグリースが軌道面に再流入しないようグリース硬さ(ちょう度)を最適化することで、従来品比で最大約64%の低フリクション化が実現されている。これらにより、従来品比で電費を約0.75%改善し、一回の給電により航続距離を3km延長することが可能となる。

NTNは本商品を5月22日～24日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」に出展する。