NTN、同軸e-Axle向け大径深溝玉軸受を開発。大径軸受としてdmn値150万の高速回転性能と標準品比50%以上の低トルク化を実現し、EVの航続距離に貢献
NTNは、電気自動車(EV)などの駆動源として使用される同軸e-Axle向けに、大径サイズで標準品比2倍以上となるdmn値※ 1150万の高速回転性能と標準品比50%以上の低トルク化を実現するとともに、耐電食性も兼ね備えた大径深溝玉軸受を開発したことを発表した。dmn値150万の高速回転性能と低トルク性により、同軸e-Axleのさらなる小型・軽量化、高効率化およびEVの航続距離の延長に貢献する。
開発の背景
近年、EVの航続距離の延長を目的に、小型・軽量な駆動源として同軸e-Axleが注目を集めている。同軸e-Axleはモータと遊星歯車減速機から構成され、減速機の出力軸がモータ軸の内径を貫通する構造のため、使用されるモータ支持用軸受は平行軸e-Axleに使用されるものと比べて、軸受内径が50~90mmの大径サイズとなる。
EVのさらなる航続距離の延長に向けて、同軸e-Axleはより一層の小型・軽量化および高効率化が進むことが予想されるが、その実現のために、同軸e-Axle用の大径サイズの軸受にはモータの高出力化への対応や低トルク化、電食※2 への対応が求められる。
※1 軸受の回転性能を表す指標で、軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1)
※2 モータからの漏洩電流でスパークが発生し、軌道面が溶融する現象。はく離などの損傷につながる。
開発品の特長
1. 高速回転性能
使用する転動体(ボール)の個数および保持器のポケット数を削減することで、高速回転時に保持器にかかる遠心力を低減することに成功した。また、保持器について、形状を工夫するほか、必要な強度にあわせた最適な材質を採用することで、高速回転時の遠心力による保持器の変形を最小化している。これらにより、軸受内径50mm~90mmの大径サイズの軸受において標準品比2倍以上となるdmn値150万を実現。
今後、同軸e-Axleが一層普及していくことが予想される中、NTNは、同軸e-Axleのさらなる小型・軽量化および高効率化ニーズを先取りした本商品をグローバルに提案し、EVのさらなる航続距離の延長と普及に貢献する。
NTNは本商品を5月22日~24日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」に出展する。
2. 低トルク性
使用するボール個数を削減することで、標準品比で50%以上の低トルク化を実現。
3. 耐電食性
絶縁体であるセラミック製のボールを使用することで、電食の発生を防止。