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キヤノン、車載用ディスプレイ向けFPD露光装置を発売。製造の効率化に貢献

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キヤノン、車載用ディスプレイ向けFPD露光装置を発売。製造の効率化に貢献

キヤノンは5月27日、第6世代ガラス基板(※1)に対応したフラットパネルディスプレイ(FPD)露光装置の新製品として、露光幅拡大により高い生産性を実現した「MPAsp-E1003H」を6月上旬に発売すると発表した。

FPD露光装置は、スマートフォンやタブレット型端末、薄型テレビや街頭のデジタルサイネージなどに用いられる液晶/有機ELディスプレイの構成部品である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)の回路を、ガラスプレートに回路パターンを露光して形成するパターニングを施す装置。

「MPAsp-E1003H」

近年、自動運転技術の進展や電気自動車の市場拡大により、多様な車載用ディスプレイの需要が高まっている。車載向けやスマートフォン向けのディスプレイの製造においては、薄型・軽量と高精細を両立する品質を実現しながら、効率的に量産を行う高い生産性が求められる。

今回発売した新製品「MPAsp-E1003H」は、露光幅の拡大による高い生産性と新技術による重ね合わせ精度を両立することで、ディスプレイ製造の効率化に貢献する。

大型テレビなどの65型パネルを一括で露光可能な第8世代ガラス基板向け「MPAsp-H1003H」(2022年7月発売)で実績のある投影光学系を搭載したことにより、1.5μm(L/S)の高解像力で一度に露光できる幅を約1.2倍(※2)に拡大。1枚のガラス基板につき、従来6ショットの露光が必要であったスマートフォンなどの製品は4ショットでの露光が可能となり、生産性が向上した。車載用途に使われる横長の大型特殊ディスプレイも繋ぎ目なく2ショットで露光できるため、量産の効率化に寄与する。

第6世代基板対応の「MPAsp-E813H」と同じアライメント方式を採用しているほか、新開発の非線形補正REI(Real-Time Equalizing distorted Image)ユニットを搭載。REIユニットにより露光幅を拡大しても±0.30μmという高い重ね合わせ精度を実現した。

「MPAsp-H1003H」で実績のある超解像を実現する照明モード切り替え機構、露光線幅を安定させる露光スリット自動調整(SIC)機構、露光レイアウトに合わせて最適なガラス基板の向きを縦横選択可能にするユニバーサルチャックを踏襲し、さまざまな製造プロセスへの対応力を強化したことで品質の安定化にも貢献する。

※1:1500×1850mmサイズのガラス基板で、スマートフォンを中心とした中小型ディスプレイの製造に用いられる。
※2:2014年9月発売「MPAsp-E813H」と比較。

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