ヤマハ発動機、水素エネルギー実証施設を森町工場に新設。カーボンニュートラルを目指し2025年より総合的な実証実験を開始
ヤマハ発動機は、水素ガスに対応する溶解炉と熱処理炉を備えた実証施設を森町工場(静岡県周智郡森町)に新設することを発表した。2025年から、水素ガスによるアルミ合金溶解技術の開発・検証をはじめ、施設・設備等に関わる総合的な実証実験が開始される。2026年末には水素ガスによるアルミ合金の溶解および鋳造部品の熱処理に関する技術開発を完了し、2027年以降、当社グループの国内外鋳造工場に順次導入していく計画としている。
この実証実験は、製品ライフサイクル全体のCO₂排出量のうち、スコープ1*¹の最少化を目指した取り組みの一つとされている。二輪車や船外機等の鋳造部品の製造では、現在は、アルミ合金を溶解するための熱エネルギーに都市ガスなどの化石燃料を使用。その代替エネルギーを探求する中で、大きな熱量を要する溶解工程の電化はエネルギー効率という点で不向きという判断から、ヤマハ発動機では、スコープ3*²の選択肢の一つとしても研究を進める水素エネルギーが着目されている。
実証実験では、水素ガスを用いた場合の品質への影響が検証されるほか、水素バーナーによる温度制御等の開発が進められる。また、グリーン水素を製造する装置と、外部加熱を使わずに合成メタンを製造するメタネーション装置*³(静岡大学との共同研究)についても導入が検討されており、水素ガスを安価に製造する設備や、排気ガス中のCO₂を再利用する技術開発も取り組まれる。
※1 ヤマハ自社による直接排出(製品の製造や燃料の燃焼)
※2 製品の使用や配送・輸送などによる排出
※3 CO₂と水素を触媒で反応させ、合成メタンを製造する装置