大型トラック製造現場の秘密を覗き見る:逆さまで組み立て始める理由とは?|UDトラックス|
以前、TOPPERでは一枚の鉄板から乗用車ができるまでを紹介した。今回は大型トラックの製造工場に潜入。大型車両ならではの製造工程のポイントを紹介する。逆さまにラインを流れるフレームは、サスペンションユニットなどを取り付けた後、「ターンオーバー」と呼ぶ専用マシンで180度回転する。(画像提供:UDトラックス)
【参考】乗用車組立工場レポート:一枚の鉄板から一台のクルマが誕生するまで
プレス~溶接工程は基本的に乗用車と共通
大型トラックも、鉄板のプレス加工から製造工程が始まるのは乗用車などと同じだ。様々な形に整えられたパーツは、スポット溶接でキャビンなどに組み立てられる。重ね合わせた複数の鋼材を、ロボットがスポットガンの電極で挟み、加圧しながら電流を流して抵抗熱で溶融させ接合する。
塗装工程ではカスタムペイントにも対応
大型トラックの製造において、乗用車と異なる工程の1つが塗装だ。運送会社など、ユーザーによってカラーリングのニーズは様々だ。UDトラックスでは、「UDトラックス カスタムペイント」を行い要望に応えている。なお、キャビンの洗浄から下塗り・上塗りといった工程は基本的に乗用車と同じだ。
シャシー(車両)工程ではフレームを回転させながら作業
UDトラックスの大型トラック製造工程で最も大きな特徴は、フレームを回転させながら様々なユニットが取り付けられていくところだ。サブラインで組み上げられたシャシーモジュールの取り付けは、フレームを逆さまにした状態で行われる。車両下部の部品取り付け完了後、専用の機械で正転させる。
製造工程の途中でフレームを180度回転させる様子は、乗用車や小型商用車の製造工程では決して見られない光景だ。作業性を上げることで、組み上げ品質の確保につながるという。また、自然な姿勢で作業ができることは、スタッフの身体にも優しい配慮と言える。
エンジンやキャビンなどは正転後に取り付け
エンジン、トランスミッション、ラジエター、キャビンなどは、サブラインで組み立てた後にメインラインに運ばれる。この段階になると、フレームは正転してライン上を流れてくる。ちなみに、エンジン組立ラインでも、作業者の負担軽減のためエンジンブロックは上下移動や回転ができるように配慮されている。
完成検査工程
完成検査は基本的に乗用車などと同様に行われる。車体が大きく機能も多いため、複数のスタッフが1台のトラックをチェックするプロセスもある。
大型トラックは荷室を含めた長さが10メートルを優に超え、全長だけでも大型乗用車の倍以上のサイズがある。製造工程には共通するプロセスも多いが、180度逆転させるというのは大型トラックならではのこと。初めて見る光景だった。
そのほか、UDトラックスの工場では作業性への配慮、つまりスタッフの身体に対する優しさが印象に残った。楽に仕事ができれば、作業の精度も効率も上がるだろう。大型トラックの試乗でも感じたドライバーへの優しさの根源は、製造現場にあるような気がした。
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