トーヨータイヤ、 独自のタイヤ設計基盤技術をさらに高度化。より高性能なタイヤをよりスピーディーに開発する商品開発基盤を整備

トーヨータイヤはスーパーコンピューターをタイヤづくりのコアリソースとして位置づけ、導入した40年前から常にそのスペックアップを続けている。また、これに用いる、タイヤの構造解析用ソフトウェアは独自に開発している。タイヤの構造、そして車両の挙動双方をシミュレーションし、市場で求められる商品をより科学的に追求し、その最適化を図ってきた。去る2019年には、CAE※2による従来のタイヤ設計基盤技術にAI技術を用いた設計支援技術を組み込み、新型「T-MODE」として進化させた。

現在は、EVの普及拡大をはじめ、自動運転技術、そしてSDV※3戦略など、次世代モビリティに関わる技術革新が次々と社会実装フェーズへと進展が続けられている。各車両におけるタイヤには、その進化を支える性能や機能をスピーディーに実現していくことが求められており、今後、さらなる設計の高精度化・高速化が重要なカギを握る。

今回、最新HPCシステムの導入を機に現行T-MODEのソフトウェアの最適化を進めたことにより、従前まで要していた設計者が利用する大規模シミュレーションの計算時間を最大2分の1以下に短縮し、さらに、シミュレーションデータの蓄積が加速することにより、タイヤの構造、形状、パターンといった設計仕様を性能値から導き出すディープラーニングモデルの「逆問題」の予測精度向上も期待できるなど、より次世代技術の実現に向けた対応体制がさらに充実、高度化された。

空力予測や材料物性予測など、大規模シミュレーションの飛躍的な実行回数増大により、今後、EV用タイヤには欠かせない要求性能である転がり抵抗や耐摩耗性に優れた製品の早期具現化が期待される。すでに本年2月より北米市場で販売が開始された、ピックアップトラック/SUVのEV向け大口径タイヤ「OPEN COUNTRY A/T III EV」の開発においては、T-MODEが実現に必要な各性能進化が強力に推進されている。