住友ゴム、あらゆる路面にシンクロする次世代オールシーズンタイヤを発表。水や温度に反応し路面状態に合わせてゴム自ら性質が変化する新技術「アクティブトレッド」を搭載

アクティブトレッドとは？

住友ゴムは、2023年10月に路面状態に合わせてゴム自ら性質が変化する新技術「アクティブトレッド」を初公開した。「SYNCHRO WEATHER」は、「アクティブトレッド」を初搭載した次世代オールシーズンタイヤだ。新技術の採用によって、サマータイヤとスタッドレスタイヤの性能の両立を実現。タイヤは、天候や路面状態に合わせゴムが専用設計されており、外部環境に合わせて履き替えることが一般的になっている。一方新商品は、タイヤ自らが適した性能に変化することで、夏も冬もより安心して使えるストレスフリーな新基準タイヤとなっている。

「SYNCHRO WEATHER」に搭載された「アクティブトレッド」では、ゴムの中に路面状態の変化に反応する2つの「スイッチ」を組み込むことでポリマーの動きをコントロールすることに成功。1つ目の「水スイッチ」では、ゴム内のポリマー間の結合の一部が「共有結合」から水で脱着できる「イオン結合」に置き換えられている。水に触れて「水スイッチ」が働くことで、ゴム表面が柔らかくなり、ウエット路面でグリップ性能が向上する。

さらに、2つ目の「温度スイッチ」では、ゴム内のグリップ成分の一部をポリマーから切り離しても機能する材料に置き換える新発想を採用。常温ではスタンダードサマータイヤと同等の剛性感を持ちながら、低温になると「温度スイッチ」が働くことで、氷上路面でも柔らかくグリップするゴムにされている。これら2つのスイッチを組み合わせることで、ドライ、ウエット、雪上、氷上といったあらゆる路面で高い性能を発揮する、これまでにないゴムが創出されている。

この技術革新によって、「SYNCHRO WEATHER」は、ドライバーを様々なストレスから解放する。使用時に、季節や天候によって訪れる場所を制限させないだけでなく、環境面においても、新商品を選択することで廃棄タイヤの数を削減し、環境負荷の軽減なども期待される。

採用技術

水でゴムが柔らかくなる「水スイッチ」

「水スイッチ」の開発では、ポリマー間の強固な「共有結合」の一部を水で脱着可能な「イオン結合」に置き換えられている。水に触れた時だけゴム表面が柔らかくなり、ウエット性能が向上する。また、乾燥するとポリマー同士が再結合することでゴムの剛性が復活し、スタンダードサマータイヤ同等の性能に戻る。この技術によって、スタンダードスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 02」と比べて大幅に向上、スタンダードサマータイヤ「ENASAVE EC204」と比べても同等以上の性能が発揮される。

低温でも硬くなりにくい「温度スイッチ」

「温度スイッチ」の開発では、ポリマーから切り離しても機能する材料が新開発され、一部グリップ成分に置き換えられている。常温ではスタンダードサマータイヤと同等の剛性を持ちながら、低温の氷上路面でもスタンダードスタッドレスタイヤ同等にゴムが柔らかくなり、グリップ力を発揮する。この技術によって、スタンダードスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 02」と同等の氷上ブレーキ性能を誇る。

また、高速道路冬用タイヤ規制でも走行可能な「スノーフレークマーク」に加え、国連規定で定められた氷上性能の基準をクリアしたタイヤを表す「アイスグリップシンボル」も刻印されている。

優れた静粛性能と耐摩耗性能を両立させる「新トレッドパターン」

タイヤ表面のパターンデザインに、最新のノイズシミュレーション技術を活用し、低ノイズと高い排水性・排雪性を両立させるV字溝設計を新開発。形状の異なる2種類のブロックをデザインし、周上の配列をランダムかつ最適な並び方にすることで、タイヤから発生する周波数をコントロールし、スタンダードサマータイヤ「ENASAVE EC204」同等の静粛性能が実現されている。

さらに、摩耗予測シミュレーションを活用し、溝の角度、深さ、サイプ(タイヤ表面に刻まれる細かい溝)などを最適化させ、接地面全体を均一にすることで摩耗量を少なくしている。その結果、耐摩耗性能もスタンダードサマータイヤ「ENASAVE EC204」同等以上になっている。