川崎重工、水素30%混焼大型ガスエンジン実証設備の国内初となる試運転に成功。2024年10月からの運用開始を予定
川崎重工は、神戸工場内の大型ガスエンジン実証設備(エンジン型式:KG-18-T、定格出力7.5MW)において、国内で初めて水素30%混焼(体積比)の試運転に成功したことを発表した。今後、燃焼制御の最適化等が進められ、2024年10月からの運用開始が目指される。
水素混焼大型ガスエンジン実証設備の特徴:
・高圧水素ガストレーラによる水素供給設備と都市ガスへの水素混合ユニットを設置し、水素を5〜30%(体積比)の任意の割合で混合することが可能
・着火性が高い水素の特性や漏洩に対する安全対策として、万が一、水素が漏洩した場合でも適切に検出できるガス検知器や、ベントラインへの窒素パージシステムなどの機能が設けられている
・既存のKG-18-Tへの将来の水素混焼に対応した改修を見据え、都市ガス専焼エンジンからの改造を極力少なくしたエンジンとされている
水素を体積比30%の割合で都市ガスと混焼した場合、都市ガスだけを燃焼させた場合と比べて、約420世帯分の年間排出量に相当する約1,150トンのCO₂を削減※1する。カワサキグリーンガスエンジン※2の水素混焼モデルの市場投入、および、既設エンジンに対する水素混焼改造工事の展開は、2025年に予定されている。現在稼働中の川崎重工製ガスエンジンへの適用なども行い、水素エネルギー利用に向けたさらなる開発を進めることで、同社は今後もカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
※1発電出力7,500kW、年間4,000時間運転、CO2排出係数2.29kgCO2/Nm3の場合
※2「カワサキグリーンガスエンジン」とは
高効率・低NOx(窒素酸化物)をコンセプトに自社開発した、本出力クラスで世界最高効率を誇る高性能な発電設備。川崎重工のガスエンジンは、起動指令後5分で最大出力に到達可能な優れた機動性を有しており、今後の再生可能エネルギーの導入拡大における電力網の需給調整力の向上にも貢献する。