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ランドローバー・ディフェンダーのサスペンションを眺めてみる

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ランドローバー・ディフェンダーのサスペンションを眺めてみる

オールアルミボディというクルマはいまなお高額車に用いられる手段。クロスカントリー車だったランドローバー・ディフェンダーは現行世代でアルミモノコックに移行、ラダーフレーム式常道のリジッドアクスル式は独立懸架式に改められた。JLRお得意のリヤサス形式をご紹介しよう。

ジャガーランドローバー社がアルミ合金を得意としているのはよく知られるとおり。ジャガー各車は早い時期からフルアルミモノコックを採用し(残念ながら多くはモデルが消滅してしまっているが)、一方のランドローバーも4代目レンジローバーからアルミモノコックボディに移行している。

ヘビーデューティ仕様だったベテランモデル・ディフェンダーはその流れにあってなおラダーフレーム構造を貫いていたがついにフルモデルチェンジ、アルミモノコックを採用するに至った。

リヤサスペンション:マルチリンク式(インテグラルリンク+台形アーム)

右リヤサスペンションを後方から。リブで剛性を持たせた台形アームが目に飛び込む。ボディ側は2箇所のピボット/ナックル側は後方がナックルに接続、前側はここから見えないが、インテグラルリンクを介してナックルに接続する構造。ばねはエアシリンダー式。
同じく右リヤサスペンションを前方から。カバーで覆われているのはトーコントロールリンクで鋼製の板金構造。その上方に台形アームのナックル側ピボットと垂直に接続する「インテグラルアーム」の様子が見て取れる。インテグラルアーム自体は鋼製の短い部品で、台形アームの前側ピボットを前後から挟み込んでナックルに接続している。斜めに配されているのはショックアブソーバー。
同じく右リヤサスペンションを上方から。画像上側が進行方向。ナックルは前方に腕を伸ばす構造としてそこにインテグラルリンク下方/トーコントロールリンクを接続する。中央はドライブシャフト、その下方は台形アームの前側ピボット。ナックルの上前方に接続するのがアッパーリンク。台形アームのナックル側ピボットの後側をインテグラルリンク接続とすることであえてトー方向の動きを許容、しかしトーコントロールリンクで抑制という仕組み。

フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン式

右フロントサスペンションを前方から。ロングアームのナックルによるハイマウントのダブルウィッシュボーン式。下側は前後のリンク構造。タイロッドは前引き配置。
左フロントサスペンションを後方から。ショックアブソーバー+エアサスシリンダーユニットはドライブシャフトをまたぐ構造としてロワー後側リンクに接続する。アンチロールバーもドライブシャフトを避け、ロワー前側リンク付近でエアサスシリンダー外筒から伸びるリンクに繋がる。
右フロントサスペンションを側方から。アッパーアームとナックルの接続部。ボディ側ピボット前部にはハイトセンサが備わる。
アルミボディであることをうかがわせるストラットマウント。もっとも「ここだけアルミ」というクルマも少なくない昨今ではある。
[MODEL 90 V8 Carpathian Edition] 5LのSC過給V8を積むハイパフォーマンスモデル。アルミモノコックを採用したものの、車両重量は2310kgと重量級(前軸1210kg/後軸1100kg)。約600kmを走行したところ、平均燃費は8.4km/Lという値を示した。
著者
Motor Fan illustrated

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