ロームの第4世代SiC MOSFETベアチップ、EVブランド「ZEEKR」の主要モデル3車種に採用
半導体・電子部品メーカーのロームは8月29日、第4世代SiC MOSFETベアチップを搭載したパワーモジュールが、中国の自動車メーカー浙江吉利控股集団(Geely)の電気自動車(EV)専用ブランド「ZEEKR」の3車種「X」「009」「001」のトラクションインバータに採用されたと発表した。
ZEEKRの「X」は、小型SUVでありながら、最大出力300kW以上、航続距離400km以上走行できる。ミニバンタイプの「009」は、インテリジェントコックピットに加えて140kWhの大容量バッテリーを搭載し、最大航続距離822kmを達成している。フラッグシップモデルであるスポーツワゴンタイプの「001」は、デュアルモーターにより最大出力400kW以上、航続距離580km以上、4輪独立制御機構を持つなど、ハイパフォーマンスEVとして販売されている。
今回3車種に採用されたパワーモジュールは、2023年度から、ロームと正海集団との合弁会社である上海海姆希科半導体(HAIMOSIC)から、Geely傘下のTier1メーカー、寧波威睿電動汽車技術(Viridi E-Mobility Technology)に量産出荷を開始している。Geelyとロームは、2018年より技術交流を開始し、2021年にはSiCパワーデバイスを中心とした戦略的パートナーシップを締結、協業を継続していた。今回、その成果として同製品が3車種に採用された。
ロームは、2025年に次世代となる第5世代SiC MOSFETの市場投入を計画するとともに、第6世代及び第7世代の市場投入計画も前倒しするなど、SiCデバイスの開発に注力している。ベアチップやディスクリート、モジュールなど、様々な形態でSiCを提供できる体制を構築することでSiCの普及を推進し、持続可能な社会の実現を目指す。