加藤製作所が切削ではなく高難度の"金属絞り加工"にこだわり続ける理由とは...汎用プレス機で自動車部品を大量生産する超絶技巧の実態｜ 第3回 オートモーティブ ワールド【秋】-クルマの先端技術展-

金属絞りだけで鏡面を実現する高精度な技術

加藤製作所の特徴的な技術の一つとして、機械加工を行わず、金属絞りのみで滑らかな表面を実現する点が挙げられる。岐阜県可児市に工場を構える同社は、精密金型製作や精密金属プレス加工を得意とする会社だ。自動車用部品の製造においてもその技術は多岐にわたり、センサーからコモンレール、フューエルインジェクター、モーター部品など、あらゆる部品に加藤製作所の技術が活かされている。

独自の精密プレス加工技術に特に力を入れており、加藤氏は、「わが社の金属深絞り加工技術は、独自の鏡面加工やバルジ成形加工などを組み合わせることで精度の高い製品を生み出しています。これにより、製品の性能に直結するような精密なパーツを提供することが可能になるのです」と語ってくれた。加藤製作所が手がける部品の精度は、完成品の性能を左右するほどの重要性を持っていると言えるだろう。

高精度な金属絞りの要は金型精度にある

金属絞り加工で滑らかな表面を実現するにはどのようなことが重要なのか。

加藤製作所が高度な金属絞り技術を実現できる理由は、金型の精度にある。加藤氏によれば、金型の表面が均一でなければ、絞る際に金属が均一に圧力を受けず、結果として滑らかな表面にはならない。そのため、いかに金型の精度を高く保つかが重要なのだという。そこに加藤製作所ならではの技術やノウハウが活きる訳だ。特別な機械ではなく汎用のプレス機を使用しながらも、この高精度な金属深絞りを実現している。これこそが加藤製作所の他社にない強みだ。

切削パーツをプレス部品に置き換えてコストを大幅に削減