開く
NEWS

三菱重工機械システム、自動車を自律的に運搬する車両搬送ロボットの基幹特許2件を完了。自動バレーパーキングや自動搬送向け事業展開を加速

公開日:
更新日:
三菱重工機械システム、自動車を自律的に運搬する車両搬送ロボットの基幹特許2件を完了。自動バレーパーキングや自動搬送向け事業展開を加速

三菱重工グループの三菱重工機械システム(MHI-MS)は、自動車を自律的に運搬する車両搬送ロボットについて、市場拡大の強みとなる基幹特許2件の国内登録を完了したことを発表した。日本国内における車両搬送ロボットの先駆者として特許の登録が実現したことにより、自動車メーカー工場・モータープール・港湾ふ頭などにおける完成車自動搬送や、ショッピングモール・テーマパーク・空港などにおける自動バレーパーキング※1 などの用途で、MHI-MSの市場競争力や事業的優位性がさらに向上される。

今回、登録が完了された基幹特許は、「4つのホイールを有する複数の車両を移動させるための運搬装置(2019年12月出願)」、および「監督者による自律型駐車ロボット集団の管理方法(2020年7月出願)」である。これらの技術により、多様な車長・ホイールベースに合わせて伸縮することができるプラットフォーム、およびプラットフォームに格納されているアームが展開し、4輪のタイヤをやさしく支持することにより、車体に触れることなく自動車を持ち上げ搬送することができるロボットが実現される。また、これらのサービスを展開するためには、複数の車両搬送ロボットを高度に管理・制御する必要があり、今回の特許登録技術である、“全体最適”を実現する管理ソフトウェアを用いて実現されている。

車両搬送ロボットを用いたアプリケーションは、完成車自動搬送においては、物流業界の人手不足や労働環境改善、脱炭素化といった課題の解決、また自動バレーパーキングにおいては、これまで敬遠されがちであった遠くの駐車スペースを“近く”に変え、ユーザーの利便性向上を実現することなどを通し、社会に新たな価値を創造する革新的技術である。欧州をはじめ世界各国におけるMHI-MSのパートナーでフランスのベンチャー企業であるスタンレーロボティクス社(Stanley Robotics:SR社)により、すでにそれぞれのユースケースでの商用化が開始されている。MHI-MSおよびSR社の技術は、車両搬送ロボットのパイオニアとして高く評価されており、今年2月には、カーボンニュートラルポート※2 を推進する愛知県の支援を受け、完成自動車の輸出入量が多い三河港の蒲郡ふ頭地区において、車両搬送ロボットを活用した完成車自動搬送の実証試験が完了している。

車両搬送ロボット

※1 ドライバーが自ら駐車スペースを探す必要なく、施設に近接した所定の乗降場(バース)に停車すると、車両搬送ロボットが空いているスペースに車両を搬送し、駐車を代行するもの。乗車する場合はその逆で、ドライバーが事前にスマートフォンアプリで指定した時間に合わせ、ロボットが車両をバースまで搬送する。ドライバーにとっては、駐車スペースを探す・駐車する手間がなく、ドアの開け閉めによる隣の車との接触トラブルがないといったメリットがある。

※2 日本における2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、CO₂排出量の約6割を占める発電、鉄鋼、化学工業などの多くが立地する臨海部産業の拠点、エネルギーの一大消費拠点である日本の港湾において、水素・燃料アンモニアなどの大量・安定・安価な輸入・貯蔵などを可能とする受け入れ環境の整備や、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化、集積する臨海部産業との連携などを通じ、脱炭素化に向けた先導的な取り組みを集中的に行うものである。

著者
Motor Fan illustrated

「テクノロジーがわかると、クルマはもっと面白い」
自動車の技術を写真や図版で紹介する、世界でも稀有でユニークな誌面を展開しています。
http://motorfan-i.com/

PICK UP