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ルネサス、第4世代ADAS用R-Carのラインアップ拡充。エントリレベル向け新シリーズも提供開始

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ルネサス、第4世代ADAS用R-Carのラインアップ拡充。エントリレベル向け新シリーズも提供開始

ルネサス エレクトロニクスは9月24日、車載用R-Car SoCのラインアップを拡充したと発表した。エントリーレベルの先進運転支援システム(ADAS)向け「R-Car V4Mシリーズ」の提供を開始し、既発売の上位モデル「R-Car V4Hシリーズ」は2製品追加。両シリーズ合わせて7製品の展開となる。

第4世代となるADAS用R-Carは、ADAS機能に必要なAI処理性能とCPU性能を備え、9 TOPS/Wの電力効率で、性能と消費電力のバランスを最適化し、フロントカメラシステムやサラウンドビューシステム、自動駐車システム、ドライバモニタリングシステムなど、ADAS機能に合わせて最適な製品の選択が可能となる。

新しいR-Car V4Mシリーズは、最大17 TOPSのディープラーニング性能で、車載カメラ、レーダー、LiDARを使用した高速画像処理と物体認識が可能となる。R-Car V4Hシリーズと同様の7nmプロセスを採用した。現在はサンプル出荷を開始しており、量産は2026年以降を予定している。

第3世代までの既存のR-Car製品とのスケーラビリティに優れており、ユーザは既存のソフトウエアを再利用して、開発費を低減できるほか、新製品の同じシリーズ内ではピンの互換性があるため、基板の流用も可能となっている。

両シリーズ全体では、アプリケーション処理用に最大4個のArm Cortex-A76コアを搭載し、最大81k DMIPSの性能を発揮。リアルタイム処理用に最大3個のCortex-R52コア(ロックステップ)を搭載し、性能は最大25k DMIPSとなる。R-Car V4Hと同様、演算処理の電力効率は9 TOPS/Wを実現。8メガピクセルのカメラセンサを搭載した一般的なスマートカメラに使用した場合、R-Car V4Mの消費電力は約5Wで、熱対策も容易になる。

同社は現在までに4億個以上の車載用R-Car SoCを出荷しており、機能安全に対して蓄積した技術と知見で、自動車の安全性要件最高レベルのASIL Dにも対応可能だとしている。

ソフトウエア定義車両(SDV)開発環境のR-Car Open Access(RoX)プラットフォームも提供。ハードウエアやオペレーティングシステム(OS)、ソフトウエアライブラリ、開発ツールなど、SDV開発に必要な基本レイヤを統合したもので、安全かつ継続的なソフトウエアアップデートを行えるSDVを、効率的に開発できる。

OEMやTier1サプライヤは、ADASや車載インフォテインメント(IVI)、ゲートウェイ、クロスドメインフュージョン、ボディコントロール、ドメイン/ゾーンコントロールなどの多様なシステムを、仮想環境上で柔軟に設計可能。AI Workbenchも含まれており、開発者はAIモデルの検証と最適化、アプリケーションのテストを全てクラウド上で行うことができる。

R-Car V4MおよびR-Car V4Hシリーズの主な特長

ADAS用第4世代R-Car SoCラインアップ
ADAS用第4世代R-Car SoCラインアップ

・アプリケーション処理用に最大4個のArm Cortex-A76コア
・最大3個のArm Cortex-R52コア(ロックステップ)により、外部マイコン無しでASIL Dをサポート可能
・専用のディープラーニングおよびコンピュータビジョンIPを搭載
・3Dグラフィックプロセッサユニット(GPU)を搭載
・マシンビジョンとヒューマンビジョンを並列で処理可能なイメージシグナルプロセッサ(ISP)を搭載
・ひずみ補正エンジンIMR(Image Renderer)を搭載
・低消費電力
・車載カメラ用の高速ブート(1秒未満)
・AUTOSARソフトウェアパーティションのメモリサイズを拡張可能
・CAN、Ethernet AVB、TSN、FlexRayなどのインタフェースを搭載
・NCAP(New Car Assessment Program)、GSR2(General Safety Regulation 2)、自動運転レベル1~2+の要件に最適なBOM構成が可能
・R-Car V4MとR-Car V4H用のパワーマネジメントIC(PMIC)提供により開発負荷を低減

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