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椿本チエインとテス・エンジニアリング、V2X対応充放電装置「eLINK」と通勤用EVを活用したエネマネシステムの共同実証実験

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椿本チエインとテス・エンジニアリング、V2X対応充放電装置「eLINK」と通勤用EVを活用したエネマネシステムの共同実証実験

椿本チエインとテス・エンジニアリングは10月1日、V2X対応充放電装置「eLINK(イーリンク)」と通勤用電気自動車(EV)を活用したエネルギーマネジメントシステム(EMS)の共同実証実験を開始した。

イーリンクは、椿本チエインが2013年に発売した、建物とEVの双方向に電力をやり取りする充放電装置。EVの充電や、EVのバッテリーに蓄えられた電力を他の場所へ供給できる。

2019年にV2X対応充放電装置としてリニューアルし、バーチャルパワープラントのリソースでの活用に向けて機能を拡充。高精度・高応答な充放電制御機能、電力を制御するEMSと連携する充放電装置として、企業の工場や事務所、地方公共団体などに導入されている。

今回の共同実証実験では、通勤用EVに着目。埼玉県飯能市の椿本チエイン埼玉工場に設置したイーリンク4台を、従業員の通勤用EVの充放電に活用し、電力の需要調整やピークカット(※1)、未利用の再生可能エネルギーの活用をはじめ、従業員の通勤コスト削減等を検証する。

システム応答性が高く柔軟な充放電に対応でき、エネルギーマネジメントシステムで管理するための必要なデータ形式を有しているイーリンクと、多台数の充放電制御や複数台充電の最適化が可能なテス・エンジニアリングのEMSと連動し、CO2排出量削減への貢献を目指す。

実証実験の内容は以下の通り。

1.通勤コストおよびCO2排出量削減の効果検証
ガソリン車からEVへの切り替えにより、通勤費は3分の1~5分の1に低減できる見込み(燃料単価、燃費による)。イーリンクを活用したデマンドレスポンス(※2)により、EVを活用した事業所の電力コスト削減も見込んでおり、EV化によるSCOPE3カテゴリ7(※3)(従業員の通勤)の脱炭素を目指す。

イメージ図
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2.複数台のEVの充電を最適化
通常、EVを満充電の状態にするためには、5~6kw/hの普通充電で7~10時間、急速充電でも1時間以上が必要となり、自宅充電以外の充電時間の確保が課題となっている。開発システムでは、就業時間中に通勤に必要な充電を行うことにより課題を解消し、複数台のEVを同時に充電するときは、各車両の通勤距離を勘案し、適切な充放電量とし、EVと事業所双方の電力使用量の適正化に貢献する。

スマホ画面のイメージ
スマホ画面のイメージ

3.アプリやポイントによる充放電制御
事業者は、EV通勤者に通勤距離に応じたポイントを配布。EV通勤者は自身のスマホから配布されたポイントの範囲内で充電量を自由に設定できる。放電量の設定も可能となっており、EVから放電し、勤務する事業所の電力削減に貢献した場合、協力に応じたポイントを付与する。脱炭素効果レポートを自動的に作成し、事業所の通勤車両管理者や環境担当者のニーズに応える。

両社は実証実験を通じてデータ収集と分析を行い、システムの高度化とユーザビリティ向上を図り、2024年度中に同システムの販売開始を目指す。将来的には、企業や商業施設等への展開など、地域全体の再エネ有効活用と電力安定供給するとともに、CO2排出量削減に貢献していく。

実験期間は2025年1月までを予定している。

※1:最も使用電力の多いピーク時の使用電力を、さまざまな方法を用いてカットすることで、電力使用量そのものを低減させる取り組み。
※2:再生可能エネルギーなどにおいて、発電量に合わせて電気料金を変動させ、電気の需給バランスを調整すること。
※3:製品の原材料調達から製造、販売、消費、廃棄に至るまでの過程において排出される、温室効果ガスの量(サプライチェーン排出量)。従業員の通勤時に排出される温室効果ガスは、Scope3のカテゴリ7に分類される。

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