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ICEとEVのいいとこ取りの代償は2.3tである:メルセデス・ベンツ・Eクラス[福野礼一郎『クルマ論評9』]

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ICEとEVのいいとこ取りの代償は2.3tである:メルセデス・ベンツ・Eクラス[福野礼一郎『クルマ論評9』]

福野礼一郎さんの単行本『クルマ論評9』をよりお楽しみいただくために、試乗当日の写真を掲載しました。誌面で綴られている雰囲気が伝わりやすくなるでしょうか。単行本をお求めの方にもリンクを用意しておりますので、ぜひお手にとってご覧ください。

メルセデス・ベンツ・Eクラス(W214)[Mercedes-Benz E-class]
試乗日:2024年3月19日

[E 350 e Sports Edition Star]
個体 VIN:W1K2140542A005786
車検証記載車重:2240kg(前軸 1000kg/後軸 1240kg)
試乗車装着タイヤ:ミシュラン e・PRIMACY前 245/40-20後 275/35-20

[E 220 d AVANTGARDE]
個体 VIN:W1K2140042A006127
車検証記載車重:1920kg(前軸 1010kg/後軸 910kg)
試乗車装着タイヤ:ピレリ P ZERO前 245/45-19後 275/40-19

(単行本書き出しより)
 2023年4月25日に本国で発表した6代目Eクラス=W214は、BEVのEQE/EQSと似たブラックアウトマスクの「サングラス顔」、ただし BEV専用プラットフォームの EQE(→ホイルベース3120mm)と違って、後述するようにパッケージは先代Eクラス=W213とほぼ同じである(ホイルベース2961mm)。これつまり「おいらはICEではないがBEVでもねえよ」という戦略的スタイリングなのだろう。6代目Eクラスはラインアップ全車がエンジンとモーターを併設するハイブリッド車だからだ。
 本国ラインアップは2ℓガソリン(E200、 E350)、3ℓガソリン(E450)、2ℓディーゼル(E220d)、3ℓディーゼル(E450d)の各搭載車がいずれも9速トランスミッションとクランクシャフトの間にスターター・ジェネレーターを内蔵する48Vマイルドハイブリッド仕様。また25.4kWhのリチウムイオンバッテリーと96kWモーターを搭載し130km/h以下で約100km走行できるPHEVをE300e(2ℓ+モーター)と E300de(2ℓディーゼル+モーター)の2車設定している。
 日本の市場だけを眺めていると「SクラスとCクラスに挟まれて中途半端な立ち位置」という印象を抱きがちなベンツのミドルクラスセダンだが、初代W124(1984〜97年)の時代からEクラスは「ベンツの世界標準セダン」という位置付けの世界戦略車である——

福野礼一郎のクルマ論評9

大好評のMFi連載「福野礼一郎のニューカー二番搾り」を加筆修正し一冊にまとめた単行本「クルマ論評」を2024年も刊行します。今回のテーマ車は日本4/ドイツ4/フランス1/イタリア1/スウェーデン1。軽自動車からスーパーカーまで、いつもの道でいつもの乗り方でじっくり確かめた結果たるや果たしていかに。

 VWでRR! でもなんか微妙に終わってる――フォルクスワーゲン・ID.4
 誰にも会いたくないときは旧友を呼んでみる――日産・GT-R
 乗り心地/乗り味は下手な乗用車よりいい――ホンダ・N-BOX
 燃費とハンドリングで差。スズキの未来は明るい――スズキ・スペーシア
 BEVで褒められるのは常にモーターだけだ――BMW・X1
 ICEとEVのいいとこ取りの代償は2.3tである――メルセデス・ベンツ・Eクラス
 高速安定性と操舵感は出色(→RRのBEV)――ボルボ・EX30
 購入に賛成してくれた後席の家族がかわいそう――ミニ・カントリーマン
 ベンツ/ビーエム1000万クラスを超える快適性+巡航性――ホンダ・アコード
 久々のハンドリング絶賛モード「これはいいクルマ。いいクルマ」――プジョー・408
 見た目に惚れて憧れても大きく裏切られることはない――マセラティ・MC20

 福野礼一郎選定 項目別ベストワースト2024
 ・ 2024年、期待を上回る出来だったクルマもしくはアイテム
 ・ 2024年、期待を下回る出来だったクルマもしくはアイテム
 ・ 2024年、買ってはいけない輸入車
 ・ 2024年クラス別ベスト車
 ・ 2024年部門別ベスト
 ・ ~2024年おおいなる期待はずれと最低のできばえ
 ・ クルマの格言と選びの鉄則
 (青字については行数厳しい場合使わずとも結構です)
 
 福野礼一郎&第一線エンジニアによる現代の視点[ホンダ・NSX]

著者
福野礼一郎
自動車評論家

東京都生まれ。自動車評論家。自動車の特質を慣例や風評に頼らず、材質や構造から冷静に分析し論評。自動車に限らない機械に対する旺盛な知識欲が緻密な取材を呼び、積み重ねてきた経験と相乗し、独自の世界を築くに至っている。著書は『クルマはかくして作られる』シリーズ(二玄社、カーグラフィック)、『スポーツカー論』『人とものの讃歌』(三栄)など多数。

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