豊田合成、ゴムリサイクル工程の生産能力を強化。材料の再生技術で脱炭素・循環型社会の構築に貢献
豊田合成は、車に使用されるゴムの資源循環を加速させるため、森町工場(静岡県周智郡)のリサイクル工程の生産能力を2倍に強化したことを発表した。
自動車業界では、鉄やプラスチックなどの資源循環が進む一方、ゴム製品はリサイクルが難しく、ほとんどが焼却処分(熱利用)されている。豊田合成では、ゴム製品を高品質な原材料に再生できる独自の「脱硫再生※1技術」を用いて、21年度にリサイクル工程を稼働させ、製品の生産時に発生した廃材の活用が推進されている。
今回、2本目のゴムリサイクル工程の稼働により、生産能力が従来の2倍となる年間1,200トンとなった。新ラインでは、技術改良によりリサイクルしたゴムの品質も向上したことで、数パーセントだった新材への配合割合を、20パーセントまで引き上げ可能となった※2。これにより、森町工場で製造するオープニングトリムウェザストリップ※3のほぼ全ての廃材をリサイクルできるようになった。
今後、リサイクルしたゴムは廃材と同種の合成ゴム※4を用いた他の製品にも適用されていく。さらに現在、天然ゴムなどにも視野を広げた技術開発も進めてられており、将来的には廃車からゴムを回収する循環システムの確立も目指されている。今後カーメーカーなどとの連携が推進され、ゴムのリサイクルにおいて業界をリードしていく。
※1 ゴムに弾性などを持たせる分子結合を解いてゴムの原材料に戻すこと。
※2 25年度に量産開始予定。
※3 車のドア枠などに装着し、雨風や騒音から車室内を守るゴム部品。
※4 エチレンプロピレンゴム(EPDM)。