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【海外技術情報】eBikeはABSを標準装備する時代へ! ボッシュと自転車用ブレーキ大手のTektro が協力を発表

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【海外技術情報】eBikeはABSを標準装備する時代へ! ボッシュと自転車用ブレーキ大手のTektro が協力を発表

モビリティにおけるボッシュについては説明不要だろうが、その事業業域は幅広い。家電製品や電動工具を含めた消費財、エネルギーなどで、エンジニアリングテクノロジーを武器に事業を展開している。今回ご紹介するのはモビリティ分野のなかのeBikeだ。昨年、ボッシュの関連企業であるボッシュeBikeシステムズが『Bosch eBike ABS』を発表した。これはマグラ製品に対応していたが、今回新たに台湾の自転車ブレーキ大手であるTektroとの協力が発表された。
TEXT:川島礼二郎(Reijiro KAWASHIMA)

eBikeはABSを標準装備する時代へ!

『Bosch eBike ABS』はあらゆる路面でのブレーキングをより安全にし、転倒やハンドルバーからの転落のリスクを大幅に軽減する。ボッシュの関連会社が実施した調査によると、すべてのeBikeにABSが装備されれば、eBikeに関連する事故の最大29%を軽減または完全に防ぐことができるという。その実現に向けてボッシュeBikeシステムズは、台湾のブレーキスペシャリストであるTektroと協力すること発表した。

自動車用ABSについては、ボッシュは40年にわたって生産を続けている。1995年からはモーターサイクル用ABSを、そして2018年には世界初となるeBike用ABS を発売した。

昨年発表した『Bosch eBike ABS』はモーターサイクル用ABSの技術に基づいて開発された世界最小のeBike用ABSとして話題になった。従来モデルより77%も小型化され、55%軽量化されており、システム全体に統合されており、車両デザインに影響を与えないように溶け込むことができる。
日本の自転車用コンポーネントの巨人であるシマノも、昨夏に開催されたヨーロッパ最大級の自転車ショーである「ユーロバイク」において、eBike関連製品を多数出展していた。新たなコンポーネントシリーズとして『CUES』を発表、そこにはシマノ初となるABSが含まれていた。eBike用ABSを開発しているイタリア企業であるBluebrakeとの共同開発品であり、2023年中の発売が予定されている。いよいよeBikeはABSを標準装備する時代を迎えようとしている。

『ボッシュeBike ABS』のシステム概要

こちらが『ボッシュeBike ABS』のシステム図。前輪と後輪に速度センサーを搭載しており、これが eBikeの速度を常に把握する。
フロントフォーク付近に搭載されるのがコントロールユニット。これがインテリジェンス センターであり『ボッシュeBike ABS』システムの心臓部である。

ブレーキ系そのものは油圧ディスクブレーキ。過度のブレーキング時に前輪のロックが予想される場合に『ボッシュ eBike ABS』がブレーキ圧を制御して、車両の走行安定性と操縦性を向上させる。

今回新たに発表されたTektroのブレーキシステムでは(マグラと同様)、多様なABS モードを用意されている。ツーリング、オールロード、カーゴ、トレイル向けに、それぞれに最適化された仕様が用意される。

著者
川島礼二郎
テクニカルライター

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系専門書の編集者等を経て独立。フリーランスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに執筆している。

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