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自動運転/ADAS評価試験向けに東陽テクニカ製「ドライビング&モーションテストシステム」をJARIが採用

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自動運転/ADAS評価試験向けに東陽テクニカ製「ドライビング&モーションテストシステム」をJARIが採用

東陽テクニカ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:高野 俊也)は、自社開発した「ドライビング&モーションテストシステム」が一般財団法人日本自動車研究所(JARI)に採用されることを発表した。AD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)評価試験に使用される。

今回採用された「DMTS」イメージ
今回採用された「DMTS」イメージ

東陽テクニカが自社開発した「ドライビング&モーションテストシステム(Driving & Motion Test System、以下DMTS)」は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に創設された「グリーンイノベーション基金事業(※1)/電動車等省エネ化のための車載コンピューティング・シミュレーション技術の開発」プロジェクトに採用される。

テーマのひとつである「電動車両シミュレーション基盤」の研究開発において、AD/ADASのHILS(※2)試験向けに使用される。自動車サプライチェーンにおける電動化・自動化に関する開発体制の高度化を図ることでEV開発サイクルの高速化を実現し、さらなるEV普及を目的としている。納入は2023年12月を予定しているという。

2050年のカーボンニュートラル実現に向け、さまざまな産業において官民での取り組みが進められている。EVのさらなる普及に向けては自動運転機能も必要な要素となっており、その性能評価には高精度なシミュレーション基盤が不可欠だ。

JARIはEV開発における新たな安全規格SOTIF(※3)への対応に加え、レベル4(※4)の自動運転を実現するためにデジタルツインでのシミュレーション基盤構築を目指している。国内自動車メーカーや部品メーカーが共通利用できる手法を開発し、幅広く活用を促す計画だ。

今回の開発では、動力学シミュレーション精度90%以上として、実機を用いた性能検証期間を半減できるレベルで構築することが目標とされている。この開発に東陽テクニカのDMTSが採用された。(※5)

背景/概要

DMTSは東陽テクニカが取り扱うシャーシダイナモやレーダーシミュレーター、カメラシミュレーターを組み合わせた統合システムだ。

車両操舵ができるシャーシダイナモ、至近距離まで評価できるレーダターゲットシミュレーターをハードウェアとして、評価の用途に応じて周囲の環境をソフトウェアで再現。レーダーや衝突回避用カメラに、シナリオに基づいた障害物を認識させるなど車両全体の評価を行う。

自動運転で必要とされる自動ブレーキ(AEB)、車線逸脱警報(LDW)や車線維持補助装置(LKA)、定速走行・車間距離制御装置(ACC)などの評価が行える。また、屋外で実施していた評価試験が屋内でのシミュレーションで実施可能になる。天候などの影響を受けずに試験の再現性を確保でき、多くの工数を要する屋外での適合業務の一部を短時間でこなせるようになる。

「DMTS」機能イメージ
「DMTS」機能イメージ

DMTSは、今回採用された機能のほかにも交通流シミュレーション、V2X、EV用電源評価システム、無線通信品質評価など、さまざまな分野のソリューションを組み合わせて開発用途に合わせた構築が可能とのことだ。

DMTS

今回の採用にあたり両社からのコメント

鎌田氏(写真左)と高野氏(写真右)
鎌田氏(写真左)と高野氏(写真右)

日本自動車研究所 代表理事 研究所長:鎌田 実氏

「今回、JARIが採択したグリーンイノベーション基金事業は自動車業界のOEM、サプライヤーからも期待がかかっている長期プロジェクトです。高精度のモデルを、いかに早く効率的に構築できるかが重要だと感じています。その構築にはHILSの設備が不可欠です。さまざまな技術・知見を持った東陽テクニカに力添えをいただき、プロジェクトの達成に努めてまいります。」

株式会社東陽テクニカ 代表取締役社長:高野 俊也氏

「当社が長年培ってきた技術・知見を、トータルソリューションとして開発したDMTSが採用されたことを嬉しく思います。JARIへの支援を通し、EVや自動運転車の研究開発、国内のさらなるEV普及に貢献できるよう努力してまいります。」

一般財団法人日本自動車研究所について

一般財団法人日本自動車研究所(JARI: Japan Automobile Research Institute)は、自動車に関する技術の基礎的な調査・研究・技術開発および試験・評価を行う総合研究機関。「環境」「安全」「新モビリティ」の3つを主な研究分野とし、5年先、10年先の社会ニーズを先読みした先進的な研究に取り組むことで、持続可能で安全・安心なモビリティ社会の実現に貢献する。

一般財団法人日本自動車研究所

東陽テクニカについて

1953年設立の東陽テクニカは、最先端の“はかる”技術を通じた技術革新に取り組んでいる。その事業分野は、情報通信、自動車、エネルギー、EMC(電磁環境両立性)、海洋、ソフトウェア開発、ライフサイエンス、セキュリティなど多岐にわたる。

5G通信の普及、クリーンエネルギーや自動運転車の開発などトレンド分野への最新の技術提供に加え、独自の計測技術を生かした自社製品開発にも注力している。

東陽テクニカ

※1 日本の新たな成長戦略として策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」のもと、NEDOに創設された総額2兆円の基金事業。
※2 Hardware In the Loop Simulation。実際のハードウェアも用いたシミュレーション。
※3 Safety Of The Intended Functionality。システムの故障がない状態における危険事象の発生を防ぐことを目的とした安全規格。
※4 高度運転自動化。ドライバー不在の完全な自動運転。
※5 「AD/ADAS HiLS試験装置」として株式会社加藤電気工業所が東陽テクニカの製品で落札。

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