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TECHNOLOGY

自律航行システム搭載の水上タクシー「エイトノットワン」が期間限定運航

将来の無人航行実現につなげたい考え

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自律航行システム搭載の水上タクシー「エイトノットワン」が期間限定運航

エイトノットワンが、全国初となる小型電動船を期間限定で運行した。離島に暮らす人々の生活支援を実現するための取り組みだ。

2023年1月、全国で初めて広島市で自律航行システムが搭載された小型電動船「Eight Knot Ⅰ(以下エイトノットワン)」が、水上タクシーとして期間限定で運航された。航行システムは、大阪のスタートアップ企業エイトノットが開発したもので、簡単なタブレット操作で目的地までの自律航行が可能になる。

なお、水上タクシーの運航は、広島の旅客船運航事業者であるバンカー・サプライが行った。エイトノットは、今回の水上タクシー運航や各地で行っている実証実験を通して、データやノウハウを積み上げ将来の無人航行実現につなげたい考えだ。

自律航行電動船エイトノットワン

エイトノットワンは定員が10名の小型電動船舶だ。自律航行システム「エイトノット AI CAPTAIN」 を搭載しており、以下のような機能を備えている:

・目的地までのルートを自動設定
・海上漂流物や他船を回避
・定点保持機能
・自動離着桟
・船の周囲360度を監視
・航行の開始や停止などの遠隔操作

上記の機能を実現するために、船には4台のカメラと、LiDARや慣性計測ユニット(IMU)、GPSなどのセンサーが取り付けられている。LiDARは自動運転車やドローンなどの分野ですでに使われている技術だが、船での使用はまだ一般的ではないとのことだ。

電動船舶であるエイトノットワンは、航行中の静粛性も高い。通常の船はエンジン音で会話が難しいことがあるが、この船では通常の声量でもしっかり会話ができる。さらに操作も簡単だ。船に備え付けられたタブレットをタップ操作して目的地を設定すれば、後はAIが自動で操船する:

1.GPS情報を基に自動で最適なルートを設定
2.波の状況や桟橋との距離などをセンサーで計測しながら離岸
3.潮流に流されないように速度を自動調整しながら航行
4.他船や流木などの障害物をカメラやLiDARセンサーなどが検知し自動回避
5.離岸時と同じように周辺状況を計測しながら着岸

エイトノットワンは0.1度単位で細かく制御されているため、常に安全性が担保されている。基本的に人間による操船は不要だが、現段階では法律や万一の安全性を考慮し、船舶免許所持者が1人同乗することになっている。

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