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エンジンテクノロジー超基礎講座013|サイクロイド減速機:高トルクアクチュエーターからロボットまでを支える技術

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エンジンテクノロジー超基礎講座013|サイクロイド減速機:高トルクアクチュエーターからロボットまでを支える技術
サイクロイド減速機でモーターのトルクを増幅しているトヨタV35A-FTS型エンジンの電動式VVT。

サイクロイド減速機(Cycloid Drive)は、高効率で大減速比を両立させる減速システムだ。自動車のエンジンにもサイクロイド減速機は使われている。【モーターファン・イラストレーテッド Vol.136より転載】

サイクロイド減速機は電動式VVTなどの小さなスペースにおいて、大トルク制御を実現するために近年広く用いられている減速機構。自動車分野だけでなく、ロボットなどの大トルクが必要とされるアクチュエーターなどにも幅広く採用されている。変わったところではインホイールモーターのリダクション機構に用いられた例もある。

サイクロイド減速機の例(上の写真のVVTのものではない)。一段で大減速が可能なこの機構は高トルクが必要とされる電動制御分野で広く用いられている。

こうした、一段で大減速が可能でゼロバックラッシュという機械要素は電動制御分野で需要が高まっている。例えば日産の可変圧縮比エンジンのクランク部を支えるリンク機構の制御に、大減速とゼロバックラッシュという特徴を持つ波動歯車装置が採用されている。

この技術は可変圧縮比には極めて重要で、これなしに実現は難しかったと思われる。ホンダの人型ロボット・アシモも同様で、やはりこれも波動歯車装置の塊といってよいほどに同技術が多用されている。

マグナによるVCR(可変圧縮比)用アクチュエーター(試作品)。波動歯車装置を用いる日産のそれとの置き換えを想定した試作品。複数段の遊星歯車機構でリダクションを行なう。

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