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【海外技術情報】Gogoro:バッテリー交換ステーションの先駆者Gogoroが自社スクーターのフラッグシップモデルを発表

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【海外技術情報】Gogoro:バッテリー交換ステーションの先駆者Gogoroが自社スクーターのフラッグシップモデルを発表

EVスクーター向けのバッテリー交換ステーションのパイオニアとして知られる台湾企業のGogoroだが、実は自社名を冠したオリジナルスクーターも販売している。そんなGogoroオリジナルスクーターのフラッグシップモデルが発表された。

台湾のバッテリー交換ステーションの先駆者がGogoro

現在もCEO、取締役会長をつとめるホレス・ルーク氏がGogoroを設立したのは2011年のこと。スマートフォンメーカーのHTCで最高イノベーション責任者を務めた後、マイクロソフトではXboxシリーズなどの製品アイデアとブランド開発を主導した人物である。

そんなルーク氏が立ち上げたGogoroは、持続可能なエネルギーと交通手段を世界の都市の大衆に導入する、というビジョンを掲げている。

設立以降、Gogoroは着々と電動スクーターをリリースし続けているが、Gogoroと聞けば誰もが思い浮かべるのは、バッテリー交換ステーションサービスの「GoStation」だろう。2015年に始まったこのサービスは、使い切ったバッテリーパックを車両から取り外して、ステーションにある充電済の新しいパックと交換できる、というものだ。

2024年1月31日付けのプレスリリースによると、母国台湾ではGogoro ネットワークは約60万人のライダーをサポートしており、2,500カ所以上にある12,000ものバッテリー交換ステーションのネットワークを通じて、130万個以上ものバッテリーを流通させている。また、現在では毎日45万件以上のバッテリー交換が行われ、累計5億3,500万件以上のバッテリー交換が行われたという。また、母国台湾においては、電動スクーターでシェア90%を獲得しているほか、シェアリングサービス「GoShare」も立ち上げられている。2021年には台湾で初めて米国市場へ上場したが、その評価額は23億米ドルを超えたという。2023年4月には、インドでのバッテリー交換ステーション事業を、また2024年1月には南米進出が発表された。

GoStationはバッテリーシェアサービス

Gogoroの仕組みは日本の国内4メーカー+エネオスが立ち上げたガチャコと同じ、バッテリーシェアサービスだ。ユーザーは車両のみを購入して、バッテリーは他のライダーと共有する。だからユーザーは高価なバッテリーを買う必要がない。バイク本体だけの金額でEVバイクの利用ができるから、初期費用を抑えることができるうえ、バッテリーの劣化を気にしたり、車両価値低下の心配がない。

Gogoroは2022年3月、世界初となる電気自動車用の可搬式全固体電池のプロトタイプを発表した。全固体リチウムセラミック電池のリーダーである ProLogium Technology と共同開発したものだ。当時のプレスリリースには「現在のリチウム電池の容量は1.7kWhだが、それが2.5kWhへと140%以上増加すると推定している」との記載がある。当然のことながら社会実装されてはいないが、それでもGogoroが技術開発にも力を入れていることは伺い知ることはできるだろう。

バッテリーは120セルのパナソニック製リチウムイオン電池で構成されており、重量は約9kg。

またGogoroは自社ブランドスクーターだけでなく、他社との協業にも力を入れている。例えば、台湾との繋がりがあるヤマハも協業先企業の一つ。現地法人Yamaha Motor R&D Taiwan Co., Ltd.が車体設計を行い、Yamaha Motor Taiwan Co., Ltd.が生産と販売を行う「GoStation」を利用できる電動スクーター「EMF」発売している。

Gogoroのフラッグシップスクーター「Pulse」

こちらが今回発表されたフラッグシップモデル「Pulse」。空力を意識してシミュレーションを活用して設計された、というフォルムは、なかなか個性的だ。最高出力は9kWとパワフルであり、後輪で378Nmもの大トルクを発生。わずか3.05秒で50km/hまで加速し、最高速度は116km/hに達する。

「バッテリー交換ごとの最大走行距離(30km/h)は約170kmだが、それはライディングスタイルに大きく依存する」と、航続距離も充分だ。

仕様の詳細や価格、国際的な入手可能性については未発表ながら、2024年第2四半期後半より台湾での出荷を開始する、という。

著者
川島礼二郎
テクニカルライター

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系専門書の編集者等を経て独立。フリーランスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに執筆している。

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