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カーエアコン用電動コンプレッサーのスクロール形状とバイポーラ型ニッケル水素電池で自動車技術会賞「技術開発賞」を受賞…豊田自動織機

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カーエアコン用電動コンプレッサーのスクロール形状とバイポーラ型ニッケル水素電池で自動車技術会賞「技術開発賞」を受賞…豊田自動織機

豊田自動織機は、カーエアコン用電動コンプレッサー「ESHシリーズ」に採用した新たなスクロール形状(豊田中央研究所との共同開発)と、ハイブリッド車用バイポーラ型ニッケル水素電池(トヨタとの共同開発)が、第73回自動車技術会賞で「技術開発賞」を受賞した。

自動車技術会賞は、自動車工学および自動車技術の向上発展の奨励を目的として1951年に設けられ、公益社団法人自動車技術会より、自動車技術における多大な貢献・功績に対して贈られる。

その中で「技術開発賞」は、自動車技術の発展に役立つ新製品または新技術を開発した個人およびその共同開発者が対象。同社は昨年受賞した「V型6気筒3.3Lツインターボディーゼルエンジン」に続き、2年連続の受賞となった。

今回受賞した技術、技術者および受賞理由(主催者発表)は次の通り。

受賞テーマ1「新歯形スクロールによる電動車用圧縮機の低騒音化」

電動コンプレッサー「ESH34」
電動コンプレッサー「ESH34」

受賞者

山下 拓郎(やました たくろう)
前田 拓巳(まえだ たくみ)

※1:豊田中央研究所 友田 達規(ともた たつのり)氏、近藤 靖裕(こんどう やすひろ)氏、堀 英津子(ほり えつこ)氏との共同受賞

受賞理由

今後急速な普及が見込まれる電動自動車においては、乗員の快適性を左右する空調用圧縮機の静粛性向上が重要課題の一つとなっている。その課題克服のため、元来、歯車設計技術として開発された新歯形理論を拡張することで、長年にわたり不変であったインボリュート曲線に代わる新たな渦巻き曲線創成技術を確立し、圧縮性能・騒音・強度などの多性能を同時に満たす新歯形スクロールを開発した。

特に、半径方向圧縮力変動と騒音の関係性に着目して、渦巻き体どうしが接触する位置を本技術で適性化することにより、当社の従来製品に比べて大幅な低騒音化を実現することができた。

電動自動車では圧縮機をバッテリー冷却にも活用することから、その重要度は増しており、新歯形スクロールは多性能向上に大きく貢献する技術として高く評価される。

受賞テーマ2「バイポーラ型ニッケル水素電池」

バイポーラ型ニッケル水素電池
バイポーラ型ニッケル水素電池

受賞者

奥田 元章(おくだ もとあき)

※2:トヨタ自動車 奥村 素宜(おくむら もとよし)氏、海谷 裕之(かいや ひろゆき)氏、森岡 怜史(もりおか さとし)氏、寺島 大樹(てらしま だいき)氏との共同受賞

受賞理由

電動車らしい軽快で上質な走りと高い環境性能の両立のため、革新的な電池技術として高出力な「バイポーラ型ニッケル水素電池(※3)」を開発。駆動用車載電池として世界初採用。従来型ニッケル水素電池に比べ、バッテリー出力が約2倍(※4)に向上したほか、アクセル操作への応答性が向上し、低速からリニアでスムースな加速が可能になった。

また、電気だけでの走行可能速度域を拡大したことで 街中の多くのシーンでエンジンを使わず電気だけでの走行に寄与できたことは高く評価される。

※3:集電体の片面に正極、もう一方の面に負極を塗った「バイポーラ電極(Bipolar:双極)」を複数枚積層させた電池
※4:従来型ニッケル水素電池に比べ[セル当り出力約1.5倍]×[コンパクト化により同じスペース内に1.4倍のセルを搭載]した結果、約2倍の高出力を実現

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