丸紅情報システムズ「SuPAR」「ホロライトスペース」が変える製造業の現場。AR・VR・MR技術で3D CADデータをホログラムとして投影|人とくるまのテクノロジー展 2024 NAGOYA
丸紅情報システムズは「人とくるまのテクノロジー展 2024 NAGOYA」で AR・VR・MR技術を駆使したツールを展示。この技術は、従来の検査方法や設計検証レビューを一新し、高効率を実現させる。
現実と仮想空間をつなぎ合わせて検査する「SuPAR」。そして、仮想空間での共同作業を可能にし、実物を作ることなくバーチャルでレビューができる「ホロライトスペース」。この仮想空間は、自動車製造業界にどのような革新をもたらすのか。丸紅情報システムズ担当説明員の百松氏と唐澤氏に話をうかがった。
TEXT:庭野 ほたる(Hotaru Niwano)
PHOTO:村上 弥生(Murakami Yayoi)
主催:公益社団法人自動車技術会
AR技術で効率化する車両検査ツール「SuPAR」
丸紅情報システムズが展示したのは、AR技術を駆使したインタラクティブ検査ツール「SuPAR(Surface Project AR)」。この技術は、検査員がiPadを片手に持ち、現実世界にある製品とデジタルデータを重ねて表示することで、検査の効率を劇的に向上させる。
「SuPARの目的は、CADデータと実物を比較し、設計通りに組み立てられているかを確認することです」と百松氏は語る。3次元的に実物の形状とCADデータを比較し、トラッキングすることで正確な検査が可能となる。
従来の検査方法は視覚的な確認が主であり、ミスが発生しやすく検査時間も長かった。特に車両の溶接点の検査では、数が多く、作業に要する工数が大きな問題となっている。
「SuPARの精度では、1立法メートルあたり2〜3ミリのズレが生じます。ですが、この精度でも物のありなしや組み付け間違いの検知には十分です」(百松氏)iPad上でダイレクトに確認できる点も検査の効率化の一助になっているという。溶接の打点検査や部品の配置確認など、実物とデジタルデータの比較によって目視検査の時間は大幅に減少できるだろう。
「とあるメーカーさんの情報にはなりますが、これまでトータルで5時間かかっていた検査時間が1時間未満まで減らせたと伺っています」(百松氏)
今後の課題は自動判定だという。「自動判定できないか?」このような声は既存の顧客からもよく上がってくる。現状の技術は、現物とデータを重ね合わせ、その判断はまだ人間によるものだ。その判断すらも自動化できれば確かに工数は爆発的に下がるだろう。
「今のシステムは、良くも悪くも人間が視覚的に判断します。つまり、これまでのルールを大きく変えずに、あくまでも補助という形で使えるんです」AR技術導入へのハードルは下がる。この技術が普及した先に自動判定の要望にも応えていきたいと、百松氏は語った。