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コンプライアンスステアとバンプステア

ステアリングと車体挙動の関係

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コンプライアンスステアとバンプステア
(PHOTO:Jaguar)

入力を受けた際にトー変化を生じさせ、車両の安定性に繋げる。多くのサスペンション設計が実現しているこの機構について、能動的および受動的な動きの2面から解説してみる。

TEXT:松田勇治(Yuji MATSUDA)
ILLUSTRATION:熊谷敏直(Toshinao KUMAGAI)

コンプライアンスステア|タイヤに生じた横力を利用して、積極的にトーを変化させる

 旋回状態にある車両のタイヤに生じる「横力」は、そのままサスペンション系への入力となる。仮に車重が1200kg、旋回加速度が0.5Gとすると、車両全体には1200×0.5=600kgf=約5880Nの横力が働く。各輪にこの力を均等に配分したとしても1470Nの入力にさらされる計算になる。特に前外側輪は負担が高くなるので、これを超える力を受けることになる。

 この力は、サスペンションリンクピボット部分のゴムブッシュをたわませるのに十分だ。そして、たわみ方によっては、前後ピボットの位置関係が変わってくる。このことを利用し、旋回中の横力によってホイールのトー角を制御することをコンプライアンスステアと呼ぶ。

 たとえばサスペンションアームの前側車体側ピボットに球面ジョイント、後側にゴムブッシュを使った場合、前側は横力による変位が非常に小さいのに対し、後側はゴムの硬度に応じた変位が発生するので、相対的な位置関係が変化することでトー角が変わる。サスペンションジオメトリーは、このような外部からの入力をも利用し、旋回中や駆動/制動時の車体姿勢を安定方向に導くように設定することが基本となっている。

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