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後輪も操舵するとどうなるのか

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後輪も操舵するとどうなるのか

そもそも4WS=後輪操舵はなぜ考案されたのか。なにが課題であり、どのように解決したのか。
なぜ、同相と逆相を使い分けるのか。微小な角度でも効能を得られるのはなぜか。
4WSの黎明期から開発の中心だった神奈川工科大学客員教授・芝端康二氏に訊いた。

TEXT:安藤 眞(Makoto ANDO)
PHOTO:山上博也(Hiroya YAMAGAMI)

 平面内における車両の運動性能を能動的に制御する技術として知られているのが、後輪操舵(4WS)システム。1980年ごろから研究が活発になり、とくに日本では、4WSシステムを搭載した量産車が各社から発売されるまでに至った。ところが90年代に入ると急速に退潮期を迎え、日産とトヨタ以外のメーカーは、量産車からは手を引いてしまった。

 その理由については漸次明らかにしていくとして、85年に日産スカイラインに搭載されて発売された世界初の後輪操舵システムHICAS(High Capacity Actively Controlled Suspension)を考案開発した芝端康二神奈川工科大学特別客員教授に、姿勢制御という側面から、4WSの効用と、今後の可能性についてお話を伺った。

 クルマの操縦性・安定性を考える上で、まず知っておかなければならない基本的な知識が、タイヤの特性である。特に旋回運動を考えるには、「タイヤは横滑り角(向いている方向と実際の進行方向とのズレ)が生じることによってコーナリングフォースを発生する」ということ。そのズレのことを「横滑り角」または「スリップ角」と呼び、コーナリングフォースの大きさは、横滑り角が5度くらいまでは比例的に増大するが、それを超えると増加率は漸減し、10度あたりで飽和するのが一般的である(乗用車用タイヤのおおむねの傾向であり、数値はタイヤによって異なる)。ということを踏まえて——

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