コマツ・日立製作所・デンヨー、250kW水素混焼発電機の製品化に成功
コマツ、日立製作所、デンヨーは8月8日、250kW水素混焼発電機の製品化に成功したことを発表した。コマツの小山工場に初号機を導入し、9月中の本格稼働を目指す。
同発電機はコマツと日立が技術供与し、デンヨーが開発したもの。燃料に水素を最大50%混合した発電が可能となっており、軽油のみを燃料とした場合に比べ、発電時の二酸化炭素(CO2)排出量を最大50%削減できる。
水素は燃焼速度が速く、燃焼温度が高い特性があるため、軽油と同様のエンジン制御では異常燃焼の発生や窒素酸化物(NOx)の生成が多いといった課題があった。
水素混焼発電機の製品化に向けた課題解決のために、3社は役割を分担。コマツは、発電機用の電子制御エンジンSAA6D170E-5Rの提供とNOxの発生抑制と異常燃焼防止に関する燃料噴射制御技術の供与、日立は、エンジンへの水素供給量の制御とセンサーによる燃焼状態の監視、異常燃焼発生時に安全に停止する新機能の実装を担った。デンヨーは、水素混焼発電機としてのパッケージ化を行い、コマツと共同でNOxの発生抑制のため軽油の噴射制御の最適化にも取り組んだ。
コマツはこれまでに、同小山工場における水素燃料電池を搭載したコンセプトマシンの実証実験や、欧州工場における工場出荷製品への充填燃料を水素化植物油に順次切り替えるなど、カーボンニュートラルに向けてあらゆる方面から取り組んでいる。日立とデンヨーは、福島県および宮城県富谷市での実証などを通して、水素混焼発電機の開発を進めてきた。今回の初号機納入を契機に、今後、水素サプライチェーンを構築するためのキープロダクトとして水素混焼発電機を拡販していく。
水素混焼発電機の仕様
発電出力:250kW
出力電圧:200 / 400V
周波数:50Hz
水素燃料消費量:115Nm3 / h(50%混焼時)
軽油燃料消費量:34L / h(50%混焼時)
発電効率:35~40%
水素混焼率範囲:0%~50%(軽油のみでも運転可能)