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【海外技術情報】ルノー:2027年に生産開始予定の次世代電気モーター「E7A」の概要を公開

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【海外技術情報】ルノー:2027年に生産開始予定の次世代電気モーター「E7A」の概要を公開

ルノーが、ヴァレオと共同開発している次世代モーター『E7A』の概要を発表した。日本においては、同モーターはヴァレオが『人とくるまのテクノロジー展2023横浜』で初公開している。ルノーが幾つか新たな情報を追加したので、ご紹介しよう。

ヴァレオが日本初公開した巻線界磁形同期モーター

2023年5月に開催された『人とくるまのテクノロジー展横浜』にてヴァレオが、ルノーと共同開発している(EESM:巻線界磁形同期モーター)を日本初公開した。レアアース・マグネットを一切使用しない新世代の自動車用電動モーターである。

この時点でヴァレオは、高密度の銅を使用する独自ノウハウを活用することで少ない電気エネルギーでより多くの電力を生成するステーターを開発する、とした。
・レアアースフリーとしては業界初となる200kW電動モーター
・2027年から量産予定
・ヴァレオはすべての顧客に包括的なシステムを提供する
こともあわせて発表されていた。

ルノーが発表した次世代モーター『E7A』の概要

ルノーグループは2023年10月26日、次世代モーター『E7A』の画像を公開して、概要を発表した。同社は2012年から採用している巻線ローターモーターで構築した専門知識を活用して次のステップに進む。さらに強力かつ効率的な新しいモーターを設計している、とした。

これまでの情報のとおり、レアアースを一切使用しないルノーの第3世代モーターはヴァレオとの共同開発であること、両社がそれぞれ1つの主要部品(ルノーグループはローターを、ヴァレオはステーター)を担当していること、『E7A』はまだ試作段階にあること、そして2027年にデビュー予定であることも確認できた。

新たな情報として、『E7A』はより強力であり、よりコンパクトかつクリーンな電気モーターである、とされた。それが以下のように、数字で示された。

ルノーは2012年の『ZOE』に、量産車に対して電気励起同期モーター(EESM)を先駆的に採用した。このノウハウを活用して、ルノーは『E7A』モーターにオールインワンアーキテクチャを採用する。これによりモーターを30% コンパクトにできる。『Megane E-Tech Electric』および『Scenic E-Tech Electric』に搭載されている現在のモーターと同等の出力と、レアアースフリーのローター技術(二酸化炭素排出量を30%削減する)を備えている。ルノーは永久磁石の代わりに巻線ローターを使用することで出力を向上させ、サプライチェーンを確保し、レアアースと磁石を生産する国への依存を回避する。

『E7A』モーターは現在の標準である400Vではなく800Vで構築されるため、バッテリーの充電時間の短縮にも役立つ。またヴァレオ製ステーターにより、出力と効率が向上する。その結果『E7A』モーターは最大200kWを発揮し、電費も良好である。『E7A』モーターにはヴァレオが得意とする銅線の組み立てにヘアピン技術を使用する。生産はフランスのクレオン工場で開始される予定である。

著者
川島礼二郎
テクニカルライター

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系専門書の編集者等を経て独立。フリーランスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに執筆している。

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