NEDO、バス・タクシー・トラックの運輸事業者から電動商用車の運行データ受け入れ開始
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は8月31日、商用車のカーボンニュートラルに向け、バス・タクシー・トラックの運輸事業者から、電動商用車の運行データの受け入れを開始したことを発表した。
NEDOが取り組んでいる「グリーンイノベーション基金事業」内のプロジェクト「スマートモビリティ社会の構築」の一環として実施。
同プロジェクトでは、電動商用車の商用利用時のデータ収集およびそれを活用した運行管理と一体的なエネルギーマネジメント、充電・水素充填インフラの最適配置などに関するシミュレーション技術を研究開発することで、社会全体および個別事業者におけるエネルギー利用・運行管理などの最適化を実現するスマートモビリティ社会の構築を目指している。
今回、産業技術総合研究所(産総研)は、バス・タクシー・トラックの運輸事業者から、電動商用車の実証実験で得られた各種データの受け入れを開始した。同プロジェクトの研究開発内容の1つである「社会全体最適を目指したシミュレーションシステム」の構築に必要となる、電動商用車の運行情報・電池などの車両データや充電・水素充填(じゅうてん)利用情報、地図情報、気象・道路環境情報などを収集する。
一部の事業者からの受け入れが開始しており、バスでは関西電力(幹事)、大阪市高速電気軌道、ダイヘン、大林組、東日本高速道路、タクシーではGO(旧社名:Mobility Technologies)、トラックではCommercial Japan Partnership Technologiesがデータを提供。今後、さらに他の事業者も順次提供を開始する予定で、より一層大量データの受け入れを進めていく。
商用利用時の車両や充電・水素充填インフラなどのデータを取得し、それらを繰り返しシミュレーションシステムへフィードバックすることで、より高精度な運行管理と一体的なエネルギーマネジメントシステムの構築につなげる。このシステムの活用により、電動商用車の大量普及期に事業者のコストやリソースの負担を極限まで軽減し、運行することも可能になるとしている。
電動商用車に関するデータは、災害時の外部給電による支援やスマートシティーで活用されるさまざまなデータと統合することで、新たなサービスの創出にもつなげていく。
NEDOは、運行データの管理・分析を通じて運行管理シミュレーションの最適化技術や充電・水素充填インフラ設備の評価手法開発、電力情報データの整備などに取り組む。同プロジェクトを通じて、商用車のカーボンニュートラルに向け、電動商用車の導入と同時に商用利用時のエネルギーおよび運行効率を最適化するデジタルトランスフォーメーション(DX)の構築を目指す。