ホンダ、BMW、フォードが北米で新会社「チャージスケープ」の設立に合意

3社はこれまで「Open Vehicle-Grid Integration Platform（OVGIP）」（※1）という活動を通じて、電力会社と自動車メーカーが持つ情報を集約するプラットフォームを構築し、試験運用をすることで、電力ネットワーク安定化を目指してきた。

新会社では、電気自動車（EV）を活用し電力ネットワーク安定化（※2）に貢献するエネルギーサービスを提供する。

複数の自動車メーカーと米国およびカナダ内にある電力会社とを結ぶ共通の情報プラットフォームを構築。各自動車メーカーのEVが電力ネットワークと効率よくつなぐことで、台数規模を生かした幅広い調整力で電力ネットワークの安定化を目指す。

電力会社に対し、各地の充電状況に関するデータなど、効率的な充電制御サービスに向けたソリューションを提供する。これにより、EVユーザーからのデマンドレスポンス（※3）の集約や、電気代が安いオフピークの時間帯での充電（V1G、※4）、将来的にはV2G（※5）と呼ばれる、EVバッテリーを電力ネットワーク安定化のために用いたエネルギーマネジメントの実現に取り組んでいく。

安定化を通じて、電力ネットワークにおける再生可能エネルギー由来電力の活用を最大化し、二酸化炭素排出量の削減に貢献。EVユーザーの充電料金や電力会社のコストの削減にもつながる。

EVユーザーは、自動車メーカーが提供するシステムやプログラムに登録しプラットフォームに接続することで、V1G機能による充電スケジュール管理や、電気代が安いオフピーク時間帯での充電などで、電気代の削減できる。充電制御サービスは、充電に関する情報や信号の伝達に車載テレマティクス技術を活用するため、家庭にスマート充電器（※6）がないEVユーザーも利用できる。将来提供を計画しているV2G機能を利用してEVから電力ネットワークに放電することで、EVユーザーが売電による収益を得ることもできるという。

新会社は今後、関係当局の承認取得などの必要な手続きを経て設立される。3社均等での出資を予定しており、2024年初頭の稼働開始を目指す。

※1：電力会社と自動車メーカーが持つ情報を集約するプラットフォームの構築により、電力ネットワークの安定化を目指す取り組み
※2：電力ネットワークとは、発電や送電、変電や配電のために使う電力設備がつながって構成するシステム
※3：電力の需給バランスを取るために、電力の供給状況に応じて需要側の消費量を調整すること
※4：単方向の充電制御（電力ネットワークからEVへの充電）
※5：Vehicle-to-Grid 双方向の充放電制御（電力ネットワークからEVへの充電、EVから電力ネットワークへの放電）
※6：通信ネットワークを介して、情報を送受信できる充電器