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三菱重工機械システム、日本自動車研究所向けに「ミリ波吸収試験装置」を受注

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三菱重工機械システム、日本自動車研究所向けに「ミリ波吸収試験装置」を受注

三菱重工グループの三菱重工機械システム(MHI-MS)は9月12日、日本自動車研究所(JARI)向けに「ミリ波吸収試験装置」を受注したことを発表した。

ミリ波吸収試験装置は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に創設された「グリーンイノベーション基金事業/電動車等省エネ化のための車載コンピューティング・シミュレーション技術の開発」プロジェクトのテーマの1つである「電動車両シミュレーション基盤」の研究開発で使用されるもので、JARIが実施した装置の調達に関する公募への応札を経て受注。JARIの自動運転評価拠点(Jtown)内にある特異環境試験場(茨城県つくば市)に導入される。

特異環境試験場は屋内であることから、試験車両に搭載したミリ波レーダーの試験評価を行う際、柱や梁などの構造物によって反射・散乱したレーダー波に起因するレーダー検知が多数発生し、試験評価を阻害するという問題がある。

建造物内における電波環境の解析・制御技術および先進運転支援システム(ADAS)への環境影響を評価する設備のインテグレーション技術をミリ波吸収試験装置へ適用することで、特異環境試験場内の構造物によるレーダー検知の発生を抑制し、自動車の安全性能評価をより高精度に行うことができる。

MHI-MSは、自動車や航空機などの供試体開発に必要な低騒音な空力風洞(空力、温度、地面効果模擬、自然風模擬)や、自動車のパッシブセーフティ技術(※)開発に必要な衝突試験装置、振動試験装置、ドライビングシミュレーターなどに関する豊富な納入実績がある。

三菱重工グループ各社は、任意の自然環境と走行状況を自由に生成して自動運転システムを高精度に試験できる屋内型の統合環境試験装置と、仮想環境下での網羅的検証が可能な「高度自動運転車両の試験・検証システム」の開発を進めている。これらの開発を通じて培ったインテグレーション技術は、ミリ波吸収試験装置にも適用されている。

MHI-MSは、特異環境試験場の建屋内構造物に起因し試験評価を阻害する車載ミリ波レーダー検知を抑制する装置の設計、製作、納入、据付および検証を2023年12月末までに実施する予定。

※機械装置の設計や操作における安全技術のうち、特に事故などの異常事態が起きた場合に人体などへの影響を最小限に抑える技術を指す。

参考リンク

自動運転評価拠点 Jtown|日本自動車研究所

高度自動運転車両の試験・検証システム|三菱重工グループ

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