佐賀県嬉野市で県内初となる自動運転車両の公道実証実験を実施
福山コンサルタントなど5者は9月20日、佐賀県嬉野市の公道で、佐賀県で初となる自動運転車両の公道走行の実証実験(自動運転レベル2)を実施すると発表した。
福山コンサルタント、日本工営、ケー・シー・エスの3社は共同企業体(JV)を組成し、内閣府の未来技術社会実装事業に選定された「嬉野市未来技術地域実装事業」を2021年度から受注し、事業を開始した。事業では「来訪者の移動を支えるモビリティサービス」をテーマに自動運転車両等の地域実装を目標に取り組んできた。
2023年度は、運行上の課題や社会受容性の検証を行うとともに、旅館や商店街等の活性化等、まちづくりに与える効果も視野に検討を進めており、その一環として今回の実証実験を実施する運びとなった。
同実証では、9月25日から10月9日までの15日間、マクニカが提供する自動運転EVバス「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」と遠隔監視システム・センターを設置して、公道における試運転と試乗会を行う。乗務員2名を配置して、嬉野温泉駅西口と嬉野温泉バスセンターの間を往復するルートを走行する。
遠隔監視システム・センターは、車両に取り付けられたセンサー(GPS、カメラ等)と車両のCAN情報(車速、回転数、ステアリング舵角等)を収集し、高品質な伝送方式を用いてクラウドへデータを保存することで、監視者1人が遠隔からクラウドにアクセスし、リアルタイムで複数車両のモビリティの状況確認ができる。蓄積されたデータから過去の状況確認、データ分析、AI活用にも応用でき、遠隔監視システムの活用により、社会課題の働き手不足の解消を目指す。
久留米工業大学(インテリジェント・モビリティ研究所)で開発した「AI対話型自動運転システム」を電動車いすに搭載した自動運転パーソナルモビリティの実証実験も合わせて実施する。
自動運転パーソナルモビリティは、2015年に開発をスタートし、これまでに吉野ヶ里歴史公園や東京ドームシティなどの大規模テーマパークや美術館、ショッピングモール、空港、病院、介護施設などさまざまな場所で実証試験を実施してきた。近年では、観光庁のプロジェクトとして、自動運転とMR、VRを融合した新たな観光コンテンツの開発や、東京都お台場での実証試験にも取り組んでいる。今回は、10月2日から10月9日までJR嬉野温泉駅前で走行する。
今後は、実証実験結果を基に、自動運転車両やパーソナルモビリティの社会実装を目指して、関係者と協議を重ねつつ検討を進めるとしている。