ホンダ、新型軽商用EV「N-VAN e:」先行公開。2024年春に発売予定
本田技研工業(ホンダ)は9月28日、2024年春に発売を予定している新型軽商用電気自動車(EV)「N-VAN e:(エヌバン イー)」に関する情報を、ホームページに先行公開した。
同社は、「2050年にカーボンニュートラルの実現」に向け、日本国内の四輪車販売において、2030年にハイブリッド車を含めて100%EVとすることを目指しており、軽商用EVを皮切りにEV展開を本格スタートさせる。
N-VAN e:は、N-VANの特長である商用車としての積載性や空間価値を、EVでもそのまま実現している。
荷室のフロア下に搭載するバッテリーを薄型化し、床はフラットで低く、天井は高くすることで、広く大容量な荷室空間を実現。助手席からリアシートまでフラットになり、長尺の荷物を積むことができる。助手席側のセンターピラーをなくした大開口部により、横からも大小さまざまな荷物の積み降ろしがしやすくなっている。
エクステリアは、従来のN-VANのデザインを踏襲しつつ、同社が掲げる環境負荷ゼロ社会実現に向けた取り組みとして、ホンダ車の廃棄バンパーをリサイクルした「バンパーリサイクル材」をフロントグリルなどに使用する。
インテリアは、スクエアな空間やフレキシブルな収納、ドライバー席側に集中配置されたエアコン操作部やシフトポジションスイッチなどにより、利便性が向上している。
EVならではのスムーズな走り出し、荷物の重さを感じさせない力強さ、低重心化による走行安定性を実現。低振動・低騒音によりガソリン車に比べ走行時や停車中の音を軽減し、早朝や深夜でも静かに移動・配送ができる。
ブレーキ操作に対してリニアに反応する電動サーボブレーキを軽商用バンとして初採用し(同社調べ)、減速時に安心感のあるブレーキフィールを提供するとともに、スムーズなブレーキの掛かり方で、車内の積載物を荷崩れさせづらいコントロール性を実現した。積載時と降坂時の走行性能に配慮し、ブレーキディスクローターのサイズアップや、Dレンジと比べて減速度を大きくするBレンジを設定する。
パワーユニットは電動アクスルの小型化、大容量かつ薄型化したバッテリーの採用、高電圧部品の集中配置により、商用車に必要な荷室空間と実用航続距離を確保。配送業務に十分対応する航続距離としてWLTCモードで210km以上を目標に開発している。エアコンの消費電力を抑え、実用航続距離の延長に寄与するECONモードを設定している。
より短時間で充電が可能な6.0kW出力の普通充電器に対応。充電時間は約5時間で、夜間に充電を行えば翌日はフル充電の状態で使用を開始できる。充電時の使い勝手を考慮し、車両の前部に充電リッドを配置することで、充電・給電時にも充電コードなどを気にせずに、車の乗り降りやドアの開閉ができる。
AC車外給電用コネクターの「Honda Power Supply Connector(パワーサプライコネクター)」(※1) を使用すれば、N-VAN e:のバッテリーで合計1500Wまでの電化製品の使用が可能となり、停電・災害時にも簡単に電気を取り出せる。可搬型外部給電器「Power Exporter e: 6000(パワーエクスポーターイー)」、「Power Exporter 9000」を使用することで、それぞれ最大6kVA、9kVAの高出力給電が可能となり、災害時などに出力の高い冷蔵庫や冷暖房器具など、複数の電化製品を同時に使用できる。
スマートフォンに入れたHondaリモート操作アプリにより、お出かけ前タイマー設定、充電待機時間設定、最大電流量設定、最大充電量設定、外部給電下限SOC(state of charge、残充電量)設定を遠隔で行うことができる。これらの機能を活用することで、快適な移動と電気代の抑制、航続距離最大化に寄与する。
安全面では、先進の安全運転支援機能を全タイプに標準装備(※2)するとともに、軽商用バンとして初めて(※3)サイドカーテンエアバッグを運転席と助手席に標準装備する。
2023年6月より日本でヤマト運輸とN-VAN e:プロトタイプを使用した実用性検証を開始し、海外においても2023年9月から、インドネシアで国営石油会社プルタミナとの実用性検証を開始した。商品配送における実用航続距離、走行性能、バッテリーの信頼性や充電プロセスなどの実用性検証を行い、発売に向けて準備を進めているという。
プロトタイプ車両は、東京ビックサイトで開催されるJAPAN MOBILITY SHOW 2023(プレスデー:10月25日~26日、一般公開日:10月28日~11月5日)のHondaブースで展示予定。
※1:ディーラーオプション
※2:Honda SENSINGはグレードによって標準装備となる
※3:同社調べ。サイドエアバッグは法規対応となり他社も装備しているが、サイドカーテンエアバッグを採用するのは軽商用バンとして初めてになる