開く
NEWS

トヨタと出光、バッテリーEV用全固体電池の量産化で協業

公開日:
更新日:
トヨタと出光、バッテリーEV用全固体電池の量産化で協業

トヨタ自動車と出光興産は10月12日、バッテリーEV(BEV)用の次世代電池「全固体電池」の量産化に向けて協業することに合意したと発表した。

全固体電池
全固体電池

次世代電池として選択肢の1つである全固体電池の要素技術研究・開発に、出光は2001年から、トヨタは2006年から取り組んできた。

全固体電池は電解質が固体であるため、電気を伝えるイオンの移動速度が速く、充電時間の短縮や航続距離の拡大、高出力化が可能なほか、温度影響を受けにくく高温・高電圧に強いため、安定性が高いというメリットもある。電池のコンパクト化が図れることで、動力性能が求められるスポーツカーから急速充電の頻度が高い商用車まで、さまざまなバッテリーEVに活用できる。

長年の技術課題となっていたのが耐久性で、充放電を繰り返すと、正極・負極と固体電解質の間に亀裂が発生し、電池性能が劣化してしまう。

2013年以降、両社は課題解決に取り組んできた。全固体電池の要素技術を開発していた出光は、石油製品の製造過程で発生する硫黄成分を固体電池の電解質として活用できることに着目。トヨタグループの正極・負極材、電池化技術を組み合わせることで、全固体電池の性能と耐久性を両立できるめどがついたという。

今回の協業は、BEV向けに高容量・高出力を発揮しやすいとされている硫化物系の固体電解質が対象。硫化物固体電解質は、柔らかく他の材料と密着しやすいため量産に適している。両社は本格量産に向けて、数十名規模のタスクフォースを立ち上げ、以下の通り協業を進めていく。

第1フェーズ

「硫化物固体電解質の開発と量産に向けた量産実証(パイロット)」装置の準備」

・両社は、双方の技術領域へのフィードバックと開発支援を通じ、品質やコスト、納期の観点で硫化物固体電解質を作り込み、出光の量産実証(パイロット)装置を用いた量産実証につなげる。

第2フェーズ

「量産実証装置を用いた量産化」

・出光による量産実証(パイロット)装置の製作・着工・立ち上げを通じた、硫化物固体電解質の製造と量産化を推進する。
・トヨタによる、当該硫化物固体電解質を用いた全固体電池と、それを搭載した電動車の開発を推進し、全固体電池搭載車の2027〜28年の市場導入をより確実なものにする。

第3フェーズ

「将来の本格量産の検討」

・第2フェーズの実績をもとに、将来の本格量産と事業化に向けた検討を両社で実施する。

全固体電池(黄色部分が固体電解質)
全固体電池(黄色部分が固体電解質)
固体電解質
固体電解質

両社は、各々の材料開発技術と出光の材料製造技術、トヨタが電動車開発で培った電池加工・組立技術を融合し、2027~2028年の全固体電池実用化と量産実現を目指す。

PICK UP