カスタムカーの祭典に福祉車両?マツダの福祉車両「Self-empowerment Driving Vehicle」【東京オートサロン2024】
東京オートサロンで見た、マツダのダイバーシティへの対応
「ひとりでも多くの方にクルマを楽しんでいただきたい、という思いで開発しています」と語るのは、マツダの福祉車両「Self-empowerment Driving Vehicle」仕様の担当者だ。
1月12日から始まったカスタムカーの祭典「東京オートサロン2024」には、国内外から400社近い企業が出展した。大手自動車メーカーも大規模なブースを設け、モータースポーツ関連車両やスポーツモデルを展示。ドレスアップやチューニングを施したクルマを合わせ、合計893台が千葉市の幕張メッセに集まった。その中で、TOPPERは敢えてマツダの福祉車両に注目した。
マツダのSeDVという手動運転仕様
今年で42回目を迎える人気のイベントとして、華やかな出展が盛りだくさんのオートサロン。マツダのブースでも、スーパー耐久レース(S耐)に参戦する「ロードスター」や「MAZDA3」など、迫力あるレーシングカーの数々がスポットライトを浴びていた。その片隅に、「SeDV」とロゴの入った一見地味な「ロードスター」が置かれていた。
SeDVは「Self-empowerment Driving Vehicle」の略で、マツダの中で福祉車両に分類される仕様を表している。特にSeDVは、脚の不自由な方が運転できるようにカスタマイズされたモデルだ。2017年に登場したロードスターSeDVは、センターコンソール横の「コントロールグリップ」を左手で手前に引くと加速し、前に倒すと減速しブレーキがかかる。
高速道路で低速走行が続くような場合は、ACC(マツダでは「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)」と呼ぶ)を使用することで左手を操作から解放することができる。ウインカースイッチは、コントロールグリップのつけ根に装備され指先で操作できる。
このレバー式運転装置は、架装メーカーのミクニ ライフ&オートのシステムを採用している。現在、手動運転装置の約9割はこのタイプとのことだ。ロードスターをSeDV第1弾として仕立てるにあたり、なじみのある方式を採用することで他車からの乗り換えやすさを重視したためだろう。
展示車のステアリングホイールには、片手でのハンドル操作をサポートする「旋回ノブ」が取り付けられていた(オプション設定)。車イスから運転席への乗り移りをサポートする「乗降用補助シート」は、ワンタッチで展開・収納が可能であるともに、使用しない場合は簡単に取り外すことができる。そのほか助手席用の「車いすカバー」など、車いす使用者に配慮したオプションが用意されている。
マツダはロードスターを、「“人馬一体”の走りをダイレクトに体感できるクルマ」だと言う。「その走る歓びを味わうことができる福祉車両の開発」を目指したのがこのモデルだと担当者が説明してくれた。
操作系に選択肢が用意されているSeDV
マツダは第2弾として、「MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle」を2021年12月に発表している(オートサロンでは展示されていない)。このモデルでは、アクセル操作をレバーからステアリングホイール内側のリングに変更した。母指球(親指のつけ根にあるふくらみの部分)で押すことで、アクセルのオン/オフ操作を行う。ブレーキは、センターコンソール横のレバーを前に押すことで作動する。