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車椅子で観光を。新たな福祉車両がカスタム界から誕生【東京オートサロン2024】

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車椅子で観光を。新たな福祉車両がカスタム界から誕生【東京オートサロン2024】

これまでにない福祉車両の開発が進んでいる。一般社団法人新日本自動車振興協会は、EV車を使用した福祉車両「電力車(でんりきしゃ)-ami1000」を発表した。このプロジェクトの目的は、乳幼児と保護者、高齢者、肢体不自由者など、交通移動弱者へのサポートだ。開発のきっかけや発表までの経緯を、新日本自動車振興会代表理事の稲田麻実奈氏にうかがった。

[西3ホール:コンコース]
TEXT&PHOTO:石原 健児(Kenji Ishihara)

カスタム界のカリスマ・稲田大二郎氏も参加

車椅子の安全対策にも配慮、最大積載量は350kg

電力車-ami1000はHW ELECTRO社の商用車EV「ELEMO-K」をベースにしたカスタムカー。貨物車の荷台に車椅子をリフトアップできるように改造した。車両開発のきっかけとなったのは、稲田理事の下で働く社員の存在だ。

肢体が不自由で、旅行にも自由に出かけられない社員のために、車のカスタムで何とかしてあげたいと考えたという。誰もが気兼ねなく観光や日常を楽しめるように、との思いがその根底にある。

HW ELECTRO社がカスタム用に寄贈した車両を活用し、カスタム界のカリスマ・稲田大二郎氏と各分野の職人たちが力を合わせて創り上げた。ベースとなるEVは満充電で120kmの走行が可能。最大積載量も350kg と十分な力を持つ。車椅子をリフトアップするまでの時間は約1分、準備も含めても3分ほど。

リフトアップ用の電力は車体とは別系統を用意しており、バッテリー不足対策も万全だ。万が一リフトアップ用の電力が不足した場合には、車両本体からも充電できる。

観光バス+人力車をイメージ

人力車をイメージした特徴あるフォルム

黒と赤のフォルムが印象的な電力車-ami1000。「オープンエアタイプの観光バスと観光地などで目にする 『人力車』をイメージしたんですよ」と新日本自動車振興会代表理事の稲田麻実奈氏。軽さを感じさせるよう人力車の車輪をイメージし、後部ロールバーをデザインしてもらったという。小型・コンパクトなトラック型EVの大きさと相まって、違和感がない。

利用する車椅子利用者が、車両前方の風景を自由に見られるよう、モニターを完備。安全対策にも力を入れており、車椅子の固定機構や補助バーを設置している。東京オートサロンには、車椅子利用者が見学に訪れ、使い勝手が好評だったという。

目標は全世界への展開

世界で目にする日も遠くない

「ami(アミ)はフランス語で『友人』を意味し、私たちはこのクルマを世界中の観光地に1,000台配置したいと考えています」

電力車-ami1000の構想が始動したのは、2023年5月。東京オートサロン2024で想いは形となった。

ただ、電力車-ami1000のカスタムは現在進行形だ。今後は、手足などが動かせない方の体を固定するため、ベルトの設置も計画しているという。

「車椅子の方と付き添いの方が同じ体験を共有できるように、後部に座席を追加したいですね」

今後は、一般道での運用に先駆け、特区での走行、施設内での走行などを視野に行政に相談していくという。将来、世界各地で走る風景を楽しみに待ちたい。

著者
石原健児

取材ライター。
1966年東京生まれの北海道育ち。大学卒業後、イベント関連企業、不動産業を経て印刷業へ。勤務先のM&A・倒産をきっかけに2016年からライター業を始める。医療系WEB媒体、ビジネス誌「クオリタス」などで活動。医師、弁護士、企業経営者、エンドユーザーなどを対象に取材してきた。総取材人数はだいたい1500人。就学前までに自動車や転落事故で「九死に二生」位は得ていると思う。最近好きな言葉は「生きてるだけで丸儲け」。

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