NTTコミュニケーションズとARAV、400km離れた除雪車を遠隔操作する実証実験を実施
豪雪地域における除雪作業員の担い手不足や経験のある作業員の高齢化の課題解決に向けて、NTTコミュニケーションズは昨年度、自治体と連携し、5G通信で伝送されるカメラ映像を確認しながら除雪車を遠隔操作する実証実験を実施した。その結果、将来の自動運転を見据えると、操作の安全性向上と、より詳細な操作データの収集が課題であることが明らかになったという。
今回の実証では、NTTコミュニケーションズの各種ソリューションとARAVの建機遠隔操作システム「Model V」という新たな組み合わせにより、除雪車の自動運転実現に向けた技術検証を行った。
宮城県仙台市にあるNTTドコモ東北ビル13階にある5Gオープンラボにコックピットを配置し、千葉県柏市・柏の葉スマートシティ「イノベーションキャンパス地区」内の「KOIL MOBILITY FIELD」に除雪車を配置。宮城県のコックピットから直線距離約400kｍ離れた千葉県に除雪車を設置し、ハンドルやアクセルなどの操作を遠隔から実施した。
建機遠隔操作システムに加えて、高精度な位置情報把握システムや低遅延での映像伝送などを組み合わせた実証を行うことで、除雪車の自動運転実現を目指した。
映像伝送にはソリトンシステムズが開発したZao SDKを使用し、モバイル回線に最適化した独自の技術を車両搭載用に小型化した機材へ組み込み、無線環境においても低遅延での映像伝送を実現。これにより、光回線の引けない場所でも導入できるため場所の選択肢の幅を広げることで導入障壁を低減するだけでなく、低遅延により安全性向上を図る。
通信環境は、インターネットを経由することなく通信処理を行うことができるdocomo MECを活用することで、外部からの乗っ取り被害の防止と、高精彩映像のリアルタイムな伝送が可能となった。
NTTコミュニケーションズのRTK測位技術を活用した高精度位置情報測位サービス「Mobile GNSS」で得たセンチメートル精度の正確な位置情報を使用し、「IoT Connect Gateway」と「Things Cloud」を用いて除雪車の位置データや操作データの蓄積及び可視化を行うことで、操作のフィードバックによる操作性向上のみならず、自動運転の実現に向け必要な機械学習用のデータ収集を行った。
今後は、除雪作業のユースケースにおける必要な技術的要素や学習データなどをブラッシュアップしながら自動運転実現に向けて取り組み、除雪分野の課題解決に貢献することを目指す。
