日本精工、 第7世代「低フリクション円すいころ軸受」を開発。ICE、HEV、PHEV、EV、すべてのモビリティの燃費・電費向上に貢献
日本精工(以下、NSK)は第7世代「低フリクション円すいころ軸受」を開発したことを発表した。本開発品は、全回転域で平均20%の低フリクションを実現し、燃費・電費向上を通じた航続距離延長に貢献する。NSKは、本開発品の売上として、2030年に150億円を目指す。
開発の背景
円すいころ軸受は、タイヤ側の低回転高荷重環境で使用されることが多くある。そのため、円すいころ軸受のフリクションを低減することで、パワートレインユニットの効率向上に貢献することができる。
NSKは、1980年頃から様々な手法で円すいころ軸受の低フリクションを実現している。近年では、脱炭素社会を目指した自動車の電動化が急激に進むなかで、低フリクションに対するニーズが高まっている。また、2017年に国際的な燃費の測定方法であるWLTCモード※1が日本にも導入され、更なる燃費の向上が求められるようになった。そのため円すいころ軸受にも、全回転域において低フリクションが要求されている。
※1 WLTCモード:2017年に国土交通省が国内で導入を開始した、国際的な燃費の測定方法。従来の燃費値表示(JC08モード)では低~高車速全体平均で測定するが、WLTCモードでは、市街地・郊外・高速道路、といった各車速ごとにも測定。
製品の特長
1) ころ数を最適化することで、転がり摩擦を低減し、全回転域において平均20%低フリクション化(従来比)を実現。
2) 現有設備で生産可能な仕様であり、今後速やかに顧客に提案し、早期の市場投入を図る。
3) 今回実現した「ころ数の最適化」は、既存の低フリクション円すいころ軸受にも適用可能。
製品の技術
1) 円すいころ軸受の寿命優位性に着目し、ころ数を最適化
円すいころ軸受は、異物に対する耐久性が高く、寿命の優位性があることが分かっており、改めて検証を実施した結果、円すいころ軸受は、計算上の寿命に対して実寿命が長いことの裏付けに成功した。
2) ころ数の最適化に伴う課題を解決
NSKが、長年培ってきた特殊クラウニング技術や希薄潤滑環境向け保持器等の知見を結集し、ころ数の最適化により発生する、ころ端部での過大面圧や焼き付きといった課題を解決した。