EVバッテリーの課題解決に日本はどのように向き合うのか
EVの課題として度々取り上げられる、バッテリーに関するリサイクルやリユース問題。世界各国の企業が取り組みを進める中においても、まだまだ解決すべき課題は山積している。
様々な自動車メーカーなども課題解決への糸口を模索しているが、まだまだ道半ばな印象だ。そんな中、課題解決の糸口を掴み、世界をリードするのが日本だ。
EVバッテリーの廃棄問題など様々な障壁をクリアしなければいけないが、日本はどのように向き合っているのかを眺めていく。
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EVバッテリーが大量廃棄時代へ
今後、EVが普及することで問題視されているのがバッテリーの廃棄問題だ。
国際エネルギー機関(IEA)によると、2019年のバッテリー廃棄は約50万t。そのうち約18万tはリサイクルが可能といわれている。大量のバッテリーが廃棄されることで、埋め立て処分場の不足を招くだけでなく、有害物質による環境汚染も懸念される。
またアメリカに拠点を置くMcKinsey & Company(マッキンゼー・アンド・カンパニー)は、2030年ごろからEVの廃棄によって発生する使用済み電池が急増していくと予測しているようだ。
2040年には廃棄電池は2,000万tを超えると言われており、早急の対策が求められている。そのような背景も手伝い、各国がリサイクル事業などに力を入れているのだ。
EUは規制という武器を使って電池リサイクルの競争力を高めた。
2023年8月17日に「電池規則」を発行。また電池の性能や材料、二酸化炭素排出量など製造過程の情報を記録する「電池パスポート」が導入されている。
アメリカは独自のエコシステムを構築。
アメリカエネルギー省の融資プログラム局は、2021年以降、自国のEVバッテリーメーカーに100億ドルを超える融資を提供。また、バッテリー材料の生産施設、リチウム採掘・加工プロジェクト、およびバッテリーリサイクル業者への支援も実施している。
2020年6月には、バッテリーのリサイクルに向けて1億9,200万ドルを超える新たな資金提供を発表。これにより、先進的なバッテリー研究開発コンソーシアムの立ち上げや、バッテリーの国内生産基盤の拡大と技術革新が期待されている。
事例としてあげた内容は、ほんの一部に過ぎない。世界的に課題解決に向けた取り組みが実施されており、今後の動きにも注目したい。