KINTO、安全運転ドライバーにNFT証明書を発行する実証実験を開始
トヨタ自動車の子会社でサブスクリプションサービスを手掛けるKINTOは5月22日、安全運転ドライバーにNFT証明書を発行しブロックチェーン上に記録する実証実験を6月から開始すると発表した。
ブロックチェーンは、インターネットにおけるデータの取引の記録を「鎖(チェーン)」のようにつなげて管理する仕組み。書き換えが困難であることから、事実上、当該の記録を永久に残すことができる技術。
NFTを用いて「安全運転ドライバー」をブロックチェーン上に記録するのは、モビリティ業界で初めての取り組みとなる。整備履歴や走行距離などの車両に残る記録と異なり、ドライバーに紐づく「安全運転」の証明をブロックチェーン上に残し、その証明を通じてドライバーを評価する仕組みが広く普及することで、安心で便利なモビリティ社会の構築に貢献できるという。
今回の実証実験では、トヨタが自社のコネクティッド技術でサブスクリプションサービスの車両から収集した運転データを分析。両社で定めた基準で「安全運転」と認定したドライバーに対して、KINTOが、デジタル資産の唯一性を担保する仕組みである「NFT(=Non-Fungible Token、非代替性トークン)」のうち、他者への譲渡を不可能にする特徴を持った「Soulbound Token」を用いた証明書を発行し、その証明をブロックチェーン上に記録するまでの一連のプロセスを確認する。
実証実験の期間は2024年6月1日〜11月30日。サブスクリプションサービス「KINTO Unlimited」で提供している「プリウス」「ヤリス」「ヤリス クロス」のいずれもUグレードを契約している利用者が対象。3車種を契約している利用者に提供しているサービス「コネクティッドドライブトレーナー」の仕組みを活用する。
トヨタが自社のコネクティッドサービス「T-Connect」を通じて車両から収集した利用者の運転データを、「アクセル」「ブレーキ」「ハンドル」「ウィンカー」「バック」の5つの安全項目で細かく分析し、「S」「A」「B」「C」「D」の5段階で評価。KINTOが安全運転につながるポイントをアプリ上でアドバイスする。
今回の実証期間を、前半の3カ月間(6月1日~8月31日)と、後半の3カ月間(9月1日~11月30日)の2回に分け、上記の5つの項目がすべて「S」となった月の数をカウント。
前半と後半のいずれか1回の期間で、3カ月いずれも5つの項目がすべて「S」だった利用者には「ゴールド」、3カ月のうち2カ月すべて「S」だった利用者には「シルバー」、3カ月のうち1カ月すべて「S」だった利用者には「ブロンズ」の証明書をKINTOから発行し、KINTO Unlimited専用のアプリを通じて送付する。前半・後半の期間でいずれも「ゴールド」だった利用者には、安全運転ドライバーの最上位に位置づける「エキスパート」の証明書を発行する。
今後は、利用者がこうしたブロックチェーン上に記録した証明をもとに、KINTOを含めた各種モビリティサービスなどをリーズナブルに利用できるスキームの構築を検討するとしている。